新井2点三塁打4番やっとお目覚め/野球

- 1回裏日本無死一、二塁、新井は2点適時三塁打を放つ(撮影・黒川智章)
<北京五輪・野球:日本6-0オランダ>◇15日◇1次リーグ
日本代表が格下のオランダに6-0と完封勝ちした。今大会無安打と不振の4番新井貴浩内野手(31)が、やっと目覚めた。1点を先制した1回、右中間を破る2点適時三塁打を放つと、5回にも左翼フェンス直撃の安打を放ち2安打2打点。先発杉内俊哉投手(27)が7回を4安打無失点と好投すれば、田中将大(19)-川上憲伸(33)のリレーで快勝した。通算成績を2勝1敗として、16日に宿敵韓国と対戦する。
新井は、ごつい体でガムシャラに走った。無我夢中で三塁ベースまでたどり着く。一息ついても、集中しきった表情は変わらない。1回に森野の適時打で1点を先制し、なおも無死一、二塁。初球の134キロ外角直球を鮮やかにとらえた。「これまではボールを見過ぎて、受け身になっていた」。積極的な打撃スタイルを思い出すと、打球は右中間を破った。2点を追加する適時三塁打。五輪初ヒットが相手に大きなダメージを与えた。
金メダルへの道のりは険しい。さらに「4番」の重圧ものしかかる。キューバ、台湾戦はいずれも無安打。7度も得点圏で打席が回ってきたが、犠飛による1打点だけ。「国のために戦うという重圧を感じながら、野球をしている」。結果を出せず、チームは苦戦。責任は痛感したが、持ち前の明るさは失わなかった。「早く1本打ちたい。じゃないと、(マスコミに)たたかれますから(笑い)」と冗談めかして話すほどだった。昨年のアジア予選、そして注目される阪神という環境でプレーし、精神的にタフになった。
第1打席の復活打は星野監督の「信頼」が生んだものでもある。台湾戦に負けていたら、4番降格の可能性があった。指揮官は言う。「それもひとつの考えだった。変えていたかもしれない。でもノーヒットで変えるのは失格というイメージができてしまうからいけない」。自らの采配ひとつで4番を殺しかねない。7月下旬に腰痛で欠場したときも、「それでも使う」と断言していた。それに対して、新井はバットで答えを返した。
16日の韓国戦は予選リーグの大きなヤマ場だ。「とにかく明日が重要。厳しい戦いになるが、がんばりたい」。5回にも内角球を強振し、左翼フェンス直撃の安打を放った。1本だけで終わらなかったことに価値がある。決戦へのスタンバイはOKだ。星野監督は「(新井は)4番だからホッとした。投打の歯車がかみ合ってきた。(韓国との)明日が勝負だね。勝つことしか考えていない」と自信をみなぎらせる。役者はそろった。星野ジャパンに、憂いはない。【田口真一郎】
[2008年8月16日9時13分 紙面から]
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