星野日本コールド大勝で準決勝進出/野球

- 6回裏日本1死三塁、西岡は2点本塁打を放つ(撮影・黒川智章)
<北京五輪・野球:日本10-0中国>◇19日◇1次リーグ
星野ジャパンが7回コールド勝ちで中国を下し、準決勝進出を決めた。課題の打線が火を噴き、6回には西岡剛内野手(24)の2ランなど打者一巡の猛攻で6点を挙げ、投げては先発の涌井秀章投手(22)が2安打無失点の好投で10-0と完勝した。投打の歯車がかみ合って勢いをつけて臨む20日の米国戦に勝てば、22日の準決勝では1次リーグ2位のキューバ、負ければ同1位韓国と対戦する。
日本代表がメダルへの道を切り開いた。日の丸の強さを存分に見せつけたコールド勝ち。10安打10得点。ただ、準決勝に進出を決めた白星にも、星野監督に笑みはなかった。「最低限というか、キューバ、韓国のどちらかに勝って、中国戦で完ペキに準決勝進出を決めたいと思っていた。でも、それが(2敗して)最悪のシナリオになった。だから、とにかく準決勝に出るんだというのが最優先だった」。かみしめるように言った。
投打のかみ合わないストレス。蒸し暑い夜の北京は、西岡のひと振りで吹っ切れた。6回1死三塁。「加油! 加油!(中国語で頑張れ)」。アウェーのスタンドからの歓声をかき消すように高々と舞い上がった打球は、右翼ポール際に飛び込んだ。
右脇腹を痛め、西岡は16日韓国戦からスタメンを外れていた。本人は「完ペきだった」というが、まだ響く痛みに耐え、ゆっくりとベースを一周した。「今日も1球振るまで怖かった。でも、こちらに来る前に『命を懸けてやる』といったはず。脇腹の骨が折れてもやるつもりでした。気持ちだけで打った。ケガしているのに、ぼくの気持ちをかってくれた監督に感謝している。野球の神様は見放さない」と言った。
そして、続く青木が四球で出塁すると、2番荒木がランエンドヒットでつなぎ、一、二塁から中島、新井、稲葉が3長短打、この回機動力も駆使しながら6点を追加し、中国の息の根を止めた。
星野監督も寝苦しい夜を過ごしていた。北京市内にある代表宿舎ではファンから声が飛ぶ。「北島が金です!」「団体競技が勝てば弾みがつきます。頑張って!」。そんな激励を「(日本)国全体がチームなんだな」と神妙に受け止めてはいるが「本音はズキッと来るよ」と胸を押さえる。だから前夜は1歩も部屋を出なかった。演歌とフォークソングを聴いて気をまぎらわしていたら、いつの間にか眠りに落ちていた。
金メダルという十字架を背負わされた星野ジャパン。その重圧を最大限のパワーに変える時が来た。試合前は「キューバと韓国。どちらがやりやすいか、おれの中でも決断できていない」と話していた星野監督だが、試合後は「勝ちにいくぞ!」とほえた。その言葉通り、20日の米国戦で勝てば、2位キューバと対戦。そして決勝が待ち受ける。残るは3戦。3連勝の先に金メダルが待っている。【寺尾博和】
[2008年8月20日8時11分 紙面から]
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