涌井2安打完封7回21人斬り/野球

- 2勝目を挙げた涌井(撮影・宇治久裕)
<北京五輪・野球:日本10-0中国>◇19日◇1次リーグ
戦う前に勝っていた。涌井が1回表のマウンドに向かい投球練習を始める。低めに集める直球を見せつけられた中国ナインは、ベンチから一斉に身を乗り出し首をかしげ、ざわつき始めた。試合開始直前の5球で相手をのみ込んでいた。
たった2安打しか許さず、しかも次打者は2人とも併殺打だった。7回を投げ打者21人。それでも「前の方(14日台湾戦)が気合が入っていましたね。納得していない。とにかく低めに集めようと思いました」とどこか不満げだった。
宮本主将をして「今の若い子って感じかなぁ。淡々として、おとなしい性格」。だが涌井も、ほかの選手に負けない断固たる決意を持っていた。昨年のアジア最終予選では初戦のフィリピン戦に先発した。韓国は成瀬、台湾にダルビッシュが先発だった。「もっと大事な試合を任されるように。北京では準決勝、決勝を投げられるよう鍛える」。新年に立てた21歳(当時)の誓いがあった。
先発2試合で13回を投げ1失点。最高の仕事にも満足などしない。「疲れを取って。中継ぎでみんなをサポートしたい」とお役御免のつもりは毛頭ない。準決勝、決勝のマウンドで誓いを果たすつもりでいる。
最後の打者を三振に仕留め、日本の準決勝進出を決めた。コールド勝ちに気付かず、静かにマウンドを降りようとした。張り詰めていた表情が、笑顔に囲まれようやく崩れた。西武を離れる前、投手陣が積み立てていたお金を餞別(せんべつ)として渡してくれた。「かなりびっくりしました。携帯代として使わせてもらいます」。まだ先がある。でも北京入りしてからも連絡を欠かさなかった仲間には、ひとまずいい報告ができる。【宮下敬至】
[2008年8月20日8時12分 紙面から]
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