長身なのに抜群のスタート
2008年8月17日
ボルトは1人だけ別次元の走りでした。196センチの長身なのに、他の選手と同じ足の回転力がある。ストライドが広い分だけ加速もつく。1歩踏み出すごとに、5~10センチの差がつくように見えました。
加えて彼の特長の1つにスタートの良さが挙げられます。決勝もドンピシャの反応でした。これまで長身選手はスタートがあまり得意ではなかった。あのカール・ルイス(身長191センチ)も中盤以降に追い込むタイプでした。近年のトップ選手は身長185センチ前後で、序盤の爆発力を最後まで生かし切るのが主流ですが、ボルトはその走りができる。まさに革命的です。
この日は無風。追い風1メートルごとに0秒1速くなると言われています。2メートルの追い風で、最後まで全力で走りきれば、夢の9秒5台も見えてきます。次の200メートルも専門種目だったことを考えれば優勝はほぼ確実。マイケル・ジョンソンの世界記録19秒32も、彼の視野に入っているでしょう。(男子100メートル元日本記録保持者、アーク・クエスト勤務)