実は我慢が苦手、見事弱点克服
2008年8月25日
サム(ワンジル)は強かった。育てた選手が金メダルをとるのを見たかったので、素直にうれしい。ただ、私は彼の弱さも見てきた。それだけに世界は決して手の届かない場所にあるわけではない、とも感じた。
彼はマラソンを経験するまで、遅いペースでの我慢ができなかった。焦って、つい前に出てしまう。その「弱点」が出たのが、昨年12月の初マラソン(福岡国際)に向けた、1カ月半の準備期間だった。
初めての40キロ走を3回行ったが、2回目でスタミナ切れした。オーバーペースだった。ゴール後はぶっ倒れて、大の字。おそらく初めての体験だったと思う。渡辺監督(仙台育英)もおっしゃっていたが、私も「行きたいところで行くために、心も体も我慢する」と言い続けてきた。
北京の30キロ地点で、メルガがペースの変化をつけてサムを揺さぶってきた。苦しかったはずだが、うまく休みながら我慢していた。駆け引きを繰り返す先頭集団の中で、スパートの機会をうかがいながら、我慢できたことが勝因だと思う。
日本勢には厳しい展開となった。夏場で2時間6分台のペースは、想像もしていなかったはず。尾方は戦意を保って頑張った。佐藤もまだ次がある。貴重な経験を若い世代にフィードバックしてほしい。(92年バルセロナ五輪銀メダル、トヨタ自動車九州監督)




