戦える状態じゃなかった土佐
2008年8月18日
五輪の42・195キロを走る難しさを再認識させられました。土佐は相当不安を抱えていたのでしょう。走る前から外反母趾(ぼし)で「痛み止めの薬を飲む」と公言するのは、普通ではありえません。これは推測ですが、致命的な痛みがありながら、野口が欠場したため出場せざるを得なかった可能性すら考えられます。いずれにせよ、戦える状態ではなかった。
中村は周囲に惑わされて本来のリズムで乗り切れなかった。せめて第2集団の前に出る積極性が欲しかった。逆にトメスクの勝因は自分の走りを貫いたこと。2番手集団は勝負どころを30キロ以降と考えて「20キロなら大丈夫」という安心感があったように見えました。これだけの大舞台では、平凡に走ることが非凡な武器になります。
現在の日本勢は中堅選手が伸び悩んでいる。そこから新しい人材が出てこないと、ロンドンは苦しい。中村のほか、北京で1万メートルを走った福士、渋井らにも期待したい。38歳のトメスクが優勝したことで、4年後に34歳になる野口の励みにもなったかもしれません。(91年世界陸上銀メダリスト、第一生命監督)




