福士大失速19位最後は4度転倒/マラソン

- ゴールラインわずか手前で倒れこむ福士加代子だが、また立ち上がり走り出した
<大阪国際女子マラソン>◇27日◇大阪・長居陸上競技場発着42・195キロ
日本長距離界の女王、福士加代子(25=ワコール)の北京五輪マラソン代表の夢が散った。スタートから独走し、一時は後続に600メートル以上の大差をつけたが、30キロすぎから失速。35キロ手前から後続に次々と抜かれた。最後は脱水症状を起こして4度も転倒。意地と本能でトップから15分以上遅れて2時間40分54秒の19位で完走した。約1カ月の超短期調整で初マラソンに臨んだが、未知の距離には勝てなかった。今後は再びトラックで北京五輪を狙う。優勝はマーラ・ヤマウチ(34=英国)、森本友(24)が日本人トップの2位に入った。
ぼろぼろの体をゴールへと引きずり、遠のく意識の中で福士は笑った。残り5メートル。4度目の転倒で地面にはいつくばると、鼻をすりむいた顔を上げて白い歯をのぞかせた。視界はぼやけ、ひじやひざもすり傷だらけ。「フクシ! フクシ!」。観客席からの歓声も耳に届かない。全身を震わせながら立ち上がり、よろめきながら1位から15分遅れの19位でフィニッシュラインを超えた。
福士 (ゴールの)競技場が見えてからは頭の中が真っ白になり、全く記憶がない。
スタートから独走でラップを刻み、25キロ地点で2位集団に2分9秒、600メートル以上の大差をつけた。この時点で野口の国内最高記録(2時間21分18秒)に15秒差に迫るハイペース。だが大阪城内を抜けた30キロすぎに異変が起きた。「急に目の前が真っ暗になって視界が悪くなった」。あごが上がり、ペースが落ちた。永山監督は「脱水症状による脳貧血だと思う」。34・6キロで並ぶ間もなくヤマウチに首位を奪われると、次々と抜かれた。
序盤5キロのラップ16分37秒に対し、35~40キロは24分48秒もかかった。「ゴールまで行かせてください」。足がもつれた残り2キロ、駆け寄った永山監督から「やめてもいいぞ」と言われたが、首を横に振った。同監督は「完走したいと思うのは陸上選手の本能。ゴールしたのは今後プラスになる」とたたえた。
3000メートル、5000メートル、ハーフマラソンで日本記録を持つ長距離の女王にもマラソンは甘くなかった。調整期間は約1カ月間と異例の短さ。30キロ以上を走る練習もしなかった。永山監督は「調整不足の反省と責任は私にある。マラソンは福士が再びスタートに立ちたいと思うまで待ちたい。北京には5000メートル、1万メートルで出場権を得る」と今後の見通しを話した。
医務室で治療を終えた福士は笑顔で会場を後にした。「ご心配をおかけしてすみません。(初マラソンは)面白かった…かな。アハハ」。悔しさを胸の内に閉じ込めたのは「苦しい時こそ笑顔で」のモットーがあるから。死力を尽くした42・195キロを糧にして、福士は再び走り始める。【太田尚樹】
[2008年1月28日9時25分 紙面から]
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