尚子作戦なし最後の五輪へ臨機応変に対応

- レース前日の朝練習を終え、笑顔で引き揚げる高橋尚子(撮影・太田尚樹)
シドニー五輪金メダルの高橋尚子(35=ファイテン)が、今日9日の名古屋国際女子マラソンを競技生活の集大成にする。8日、名古屋市のホテルで行われた記者会見に出席。200人を超える報道陣を前に、勝負へのスイッチが入ったことを明かした。五輪選考レースへの出場は、今回が最後。過去の栄光を振り返った上で、もう一花咲かせる決意を示した。
記者会見場に入ると、高橋は200人以上の報道陣を見渡して、つぶやいた。「すごいなあ、すごい」。注目度を体感し、気持ちにスイッチを入れた。
高橋 この場に座って多くの人に囲まれると、ようやくレースまで1日を切ったんだと実感してきました。みなさんに元気な姿を見せて、恩返しができるレースをしたいです。
マラソン11戦目。独走、駆け引きからのスパート、そして失速…。豊富な経験を駆使して、今日の尾張路を走り抜く。事実上、残り1枚の五輪切符を争う豪華メンバーの中で、作戦は固定しない。柔軟さが優勝へのカギになる。
高橋 皆さん、スタイルも得意な展開も違う。想定通りにならないので、臨機応変に対応したい。
岐阜・藍川東中で陸上競技を始めて22年。「用具にお金がかからないから、親孝行でしょ?」と言って走り始めた13歳の少女は、五輪金メダリストになり、35歳の今も勝負を続けている。座右の銘は、県岐阜商時代に中沢監督から伝え聞いた「何も咲かない寒い日は、下へ下への根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く」。
高橋 陸上人生は長いので、いろいろなことがありました。何も結果が出ない時も、やっていることは間違っていないんだと言い聞かせてやってきて、いろんな花を咲かせてこれた。明日は明日の、名古屋の色に染まるように花を咲かせたいと思います。
今回の勝敗にかかわらず、引退はしない。ファイテンとの所属契約も09年まで残り、延長の可能性もある。だが、五輪選考レースは、今回が最後。どんな花を咲かせるのか?
高橋 一番知りたいのは、私自身。これが分からないからマラソンは楽しい。結果が出て、やってきたことが正しいかどうかが分かる。今は玉手箱を開ける前の、ワクワクドキドキした感じを楽しんでいます。
いつもの語録が飛び出し、箱を開ける準備は整った。【佐々木一郎】
[2008年3月9日9時17分 紙面から]
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