初挑戦中村一気のスパートでV/マラソン

- 初マラソンの名古屋国際女子で優勝し、ゴールする中村
<名古屋国際女子マラソン>◇9日◇名古屋市瑞穂陸上競技場発着42・195キロ
北京五輪代表「第3の女」は超新星だ。初マラソンの中村友梨香(21=天満屋)が2時間25分51秒で優勝して北京五輪代表を確実にした。32キロすぎにスパートし、天満屋の先輩でアテネ五輪代表の坂本直子(27)ら並み居るライバルを一気に突き放した。タイムこそ大阪国際2位で天満屋の同僚森本友(24)に17秒劣ったが「最終選考レース優勝」と「見事なギアチェンジ」に対する評価は高く、五輪切符をほぼ手中にした。
尚子でも直子でもない。伝統の鮮やかなピンクのユニホームに身を包んだ21歳が、一気に日差しと脚光を浴びた。32キロすぎの南向きの直線。中村が堀江をかわして先頭へ出た。速い。独走だ。先輩坂本や原ら年上の強豪たちの影が、あっという間にかすんだ。
顔に苦悶(くもん)のシワはなく、ほほえんでいるような余裕の表情。「ゴールラインを踏むまで何も考えなかった。後ろに人がいるつもりで走った」。1度も後ろを振り返らず、前だけを見て突き進んだ。両手を広げてゴールに飛び込み、武冨監督と抱き合うと、ようやくうれし涙で顔をくしゃくしゃにした。
圧巻のギアチェンジで北京行きを決めた。序盤5キロのラップが17分55秒のスローペースだったのに対し、35~40キロは16分44秒。2時間25分51秒のタイムは大阪2位の森本に17秒劣ったが、並みいる強敵を倒しての優勝に、陸連の沢木専務理事も「破壊的なスパート。スピードがすばらしい」と絶賛した。強さの秘密は持ち前の「低空走法」。ストライドが地面スレスレを進む。だから着地時の衝撃が少なく、疲労が蓄積しない。武冨監督も「流れるような着地」とほれ込む。
「選考レースに出られただけで幸せなのに。すごくうれしい」。謙虚な言葉と裏腹に、しんは強い。高校卒業時には、大学進学を進める両親に「勉強と(陸上の)2つはできない」と首を縦に振らなかった。昨年11月に練習に身が入らず、武冨監督に「(マラソンへ)もう出さない」とカミナリを落とされると、翌12月の全日本実業団対抗女子駅伝3区で渋井を抑えて日本人トップの結果を出して、マラソン挑戦を認めさせた。
天満屋には高校の先輩坂本を慕って入社した。あこがれの先輩を沿道で応援したアテネ五輪から4年。北京五輪代表について「今は何とも言えないけど、これで少し近づけた」。Qちゃんが散った名古屋で、頼もしい新星が花を咲かせた。【太田尚樹】
[2008年3月10日9時42分 紙面から]
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