ボルト100で世界新9秒72/陸上

- 9秒72の世界新をマーク、掲示板の前でポーズを取るボルト(AP)
<陸上:リーボックGP>◇5月31日(日本時間1日)◇米ニューヨーク◇男子100メートルなど
男子短距離界に、新星が飛び出した。100メートルで、ライトニング・ボルト(稲妻)の愛称を持つウサイン・ボルト(21=ジャマイカ)が、9秒72の世界新記録を樹立した。昨年、パウエル(ジャマイカ)が出した9秒74を0秒02更新。196センチの長身を生かした走りで、5月に出した世界歴代2位の9秒76がまぐれでなかったことを証明した。北京五輪イヤーに、ゲイ(米国)とパウエルに新鋭が割って入り、男子100メートルは3強時代に突入した。
どでかいストライドで、ボルトの巨体がゴールを駆け抜けた。悪天候の影響で、1時間以上も競技開始が遅延。さらにスタートはフライングがあり、やり直しになった。しかし、追い風1・7メートルの好条件の中、50メートルすぎから抜け出した。両手を広げてゴールすると、記録は9秒72。雨上がりのニューヨークで、人類史上最速タイムをたたき出した。
「世界記録を出したいと思っていた。自信があったから、ここに来た。でも、今日出せるとは、思っていなかったよ」。昨年の世界選手権(大阪)で優勝したゲイは、9秒85の好タイムながら2位に終わり「何とかしないといけない。ボルトに脱帽だ。今日は彼の日だった」とたたえるしかなかった。
少年時代はサッカーやクリケットに夢中だった。陸上に転向すると、マイケル・ジョンソン(米国)を意識し、200メートルで才能が開花。15歳332日の男子史上最年少で世界ジュニア選手権200メートルを制し、17歳で19秒93のジュニア世界記録をマークした。昨年の世界選手権200メートルでゲイに次いで2位に入り、世界最速を争う100メートルに本格参戦した。
100メートルは昨年まで10秒03が最高だったが、今年5月3日に世界歴代2位の9秒76をマーク。そして、世界新につなげた。本職は200メートルとの意識があったが、100メートル出場も宣言。「もしも明日、誰かが僕より速く走ったら、僕は世界最速男でなくなってしまう。でも、五輪王者になれば、4年間はその座を奪われないからね」。
前世界記録保持者のパウエルは、胸の筋肉を痛めて試合から遠ざかっている。新旧世界記録保持者の対決は6月末のジャマイカ選手権になる。世界王者のゲイも黙ってはいない。北京五輪で超ハイレベルな3強対決を制すれば、最速男の称号は完全にボルトのものになる。
[2008年6月2日9時27分 紙面から]
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