末続余裕、流して今季ベスト20秒67/陸上

- 末続(左から2人目)は後ろを振り向き順位を確認しながらゴールへ向かう
<陸上・日本選手権:男子200メートル>◇予選◇26日◇川崎市等々力陸上競技場
男子短距離のエース末続慎吾(28=ミズノ)が完全復調した。200メートル予選に出場し、残り80メートルを軽く流しながら20秒67(追い風1・7メートル)の今季ベストを記録。シーズン当初はスピード不足に苦しんだが、本来の力を取り戻した。すでに五輪参加標準記録Aを突破。27日の決勝で勝てば代表に内定するが、早くも五輪での勝負を意識し始めた。
勝負を直線に持ち込ませなかった。予選3組。末続はコーナーで飛び出し、直線にさしかかる時にはもう、決着をつけていた。120メートル付近を過ぎると、首を右に振り、そして左にひねり、後続との距離を確認。後はリラックスして、ゴールまで流した。強かったころの、予選用の走りがよみがえった。
「1本1本を大事にと思って、しばらく(レースの)期間が空いたので、様子を見ながら試運転しました。だいぶ余裕がありました」。
1カ月前とは別人だった。今季初戦の大阪GP(5月10日)は100メートルで10秒55。200メートルは同下旬の北京プレ大会で予選と準決勝を走り、20秒92と20秒91。自身の持つ日本記録20秒03に遠く及ばず「3速でずっと走っている感じ」と車に例えて、スピードが上がらないことを嘆いていた。
焦りはなかったのか? 「僕が一番分かっているんで、体は」と振り返る。コーチを務める日本陸連の高野強化委員長は「まだまだ。決勝が終わってみないと。ただ、1つ言えることは、練習の中で試合を想定したポイントができた」と説明した。故障をおそれて慎重になっていた「守りの調整」から「攻めの調整」にシフトできたのだという。100メートルに出場せず、200メートルにしぼり、神経も研ぎ澄ませてきた。
A標準を切っているため、決勝で勝てば代表に内定する。だが末続のイメージは、それを超えていた。「五輪で結果を出したいんで、その段階として頑張りたい。安定した、ムラのない走りをしたい」。「今のままだと負けるかもしれないぞ」と高野コーチに指摘されていた男が、勝つことを前提にコメントした。梅雨空の下、光明が見えてきた。【佐々木一郎】
[2008年6月27日9時29分 紙面から]
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