ゲイ予選で9秒77米国新記録/陸上
<陸上:全米選手権>◇2日目◇28日◇オレゴン州ユージン
「世界最速」への激しい争いが始まった。男子短距離の世界王者タイソン・ゲイ(25)が、100メートル2次予選で9秒77の米国新を樹立。同日に新旧世界記録保持者が争ったジャマイカ選手権を強烈に意識し、自身初の9秒7台で、ウサイン・ボルト(21=ジャマイカ)が5月末に出した9秒72の世界記録に肉薄した。前世界記録保持者のアサファ・パウエル(25=同)を含む「3強」の争いは本番前から過熱。8月16日、全世界の耳目が、北京のトラックに立つ3人のスプリンターに集まる。
得意の後半で、ゲイのスピードが一気に上がった。100メートル2次予選1組。1次予選では力を抜きすぎて4組4着(10秒14)とギリギリ通過だっただけに、このレースではスタートから飛ばした。2位以下を2メートル以上引き離してゴールすると、場内に「米国新記録」のアナウンスが流れた。
99年にモーリス・グリーンが出した9秒79を9年ぶりに更新。これまで9秒84がベストだったので、自己記録を0秒07塗り替えたことにもなる。「まだ2レース残っている。このタイムを決勝で出したかった」と厳しい口調で話したが、記録には満足そうだった。
昨年の世界陸上では100、200、400メートルリレーで3冠に輝いた。北京でも金メダルの最有力候補だった。しかし、昨年9月にパウエルが9秒74の世界新を樹立。さらに、今年5月には新鋭ボルトが9秒72の世界新を出した。この日はジャマイカで新旧の世界記録保持者が激突。「(注目されないから)オレは精神的に楽。2人の方が緊張するはず」と、強烈なライバル意識を隠さず言った。
「神には感謝するが、記録のことはあまり考えていない」とゲイは素っ気なかったが、好タイムは、直後にジャマイカ選手権で決勝を争う2人への重圧になったはず。本来は後半型だが、昨年の世界選手権100メートルではスタートから飛び出してパウエルの焦りを誘った。駆け引きなら負けない自信がある。2人の争いに割って入る、いや2人に重圧をかける好タイム。北京五輪金メダルへのレースは、すでに始まっている。
[2008年6月30日9時46分 紙面から]
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