室伏5位、腰痛こらえ出場80m71/陸上

- 男子ハンマー投げで5位に終わった室伏は手を振ってスタジアムを後にする
<北京五輪:陸上>◇17日◇男子ハンマー投げ決勝
陸上男子ハンマー投げの室伏広治(33=ミズノ)が、連覇を逃した。2投目に80メートル71を投げたが、それ以外は80メートルを超えられず、5位に終わった。父重信コーチ(62)によると、今月に入ってから腰を痛め、五輪でなければ欠場したほどの状態だったという。今季の残り試合は欠場する方向だが、本人は早くも4年後のロンドン五輪出場を宣言した。昨年の世界選手権2位のコズムス(スロベニア)が82メートル02で金メダルを獲得した。
本来の力強さが、まったく見られなかった。2投目に80メートル71をマークした。しかし、全6投で80メートル超えは、この1投だけ。逆転を狙った最終6投目は、ハンマーを放った後、首をかしげた。1度もトップに立つことなく、3度目の五輪は5位で終わった。
「僕自身、自分の力は出し切った。6投目が終わった時、4年間一生懸命やってきて、良かったと思いました。悔いはありません」。なぜ、記録が伸びなかったのか? 「それは波もあるし、自分の力は出した。それ以上のことはできません」。敗因は具体性に欠けた。言い訳しないことが、前回金メダリストの意地だった。
いつものように、サークル後方のスタンドで見守った父が、真相を明かした。北京入り直前に腰を痛め、5~7日にかけて特に痛みが出たという。
父重信コーチ 体がまっすぐにできない状態。右肩が下がって、ゆがんでいる。3日間は、腰が痛くて、軽い練習しかできなかった。これが五輪でなかったら、出なかった。体のバランスがおかしいんです。
7月に中京大で行った2度の記録会では、仕上がりの良さを示していた。同21日には今季世界ランク3位の81メートル87をマーク。その後も順調にいけば、メダルを狙える状態だった。しかし、8月に入って、腰が悲鳴を上げた。
今季、最初に腰を痛めたのは3月。その後、大小合わせて5回も故障した。80メートル以上投げるには、体に400キロ近い負荷がかかる。疲労が原因だったこともある。ストレッチの最中に違和感が出たこともある。MRI(磁気共鳴画像装置)検査をしても、はっきりした原因は分からなかった。
練習が不足し、スタミナがなかった。全6投中、後半の追い上げは不可能で、逆転を狙える状況ではなかった。重信コーチは「根本的に直さないと駄目」とし、今季の残り試合の欠場を示唆。9月のスーパー陸上についても「今年はどうかな。出ないのでなく、出られない」とした。
ただし、本人は苦しみを表に出さなかった。「トップクラスを維持して、またチャレンジしたい。五輪の雰囲気は好きだし、ぜひまたロンドンも行けたらと思います」。37歳で迎える次の五輪まで口にした。父は40歳まで現役を続けた。鉄人の息子は、顔にも言葉にも悔しさを出さず、4年後を視野に入れた。【佐々木一郎】
[2008年8月18日10時0分 紙面から]
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