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ボルト連続世界新で2冠/陸上

世界新記録でゴールするボルト(AP)
世界新記録でゴールするボルト(AP)

<北京五輪:陸上>◇20日◇男子200メートル決勝

 世界最速男ウサイン・ボルト(ジャマイカ)が「不滅の記録」をぶち破った。200メートル決勝で19秒30の世界新記録をたたき出した。96年にマイケル・ジョンソン(米国)がマークし、「100年は破られない」と言われた世界記録を0秒02更新。9秒69の世界新で制した100メートルに続いて、2冠を達成した。五輪の100メートル、200メートル制覇は84年ロサンゼルス大会のカール・ルイス(米国)以来、24年ぶり。世界短距離史の伝説ともいえる2人がかすむほどの金字塔を、21日に22歳になった新星が打ち立てた。

 とてつもない記録が出た。ボルトが、またやった。スタートから飛び出した。コーナー出口で勝負を決めたが、スピードは緩めない。歯を食いしばった。後続は、はるか後ろ。胸を突き出して、フィニッシュした。向かい風0・6メートル、19秒31-。速報値は直後、19秒30に訂正されて、夢の記録と2冠が確定した。

 「夢がかなったよ。準決勝の後、心配になったんだ。でも、すべてを出し切ろうと思った。この記録は予期していなかった。ショック、ショックだよ。直線に入った時、自分に言い聞かせたんだ。『そのまま、もってくれ』って」。6日間で8レース目。100メートル決勝でさえ、ラスト20メートルは流した。全力疾走は1度もなかったが、最後の最後で本気をみせた。

 ウイニングランの途中に、歓喜のレゲエ・ダンス。その後、場内に流れたバースデーソングの中を、悠々と引き揚げてきた。

 レースの5時間前には、会場の国家体育場でマイケル・ジョンソン氏が会見していた。「記録を破られても驚かないし、ショックも受けない。結局は、僕の記録にさよならのキスをしなければならないだろうね」。覚悟を決めたかのようだったが「ここで破られるとは思わない」とも続けた。予想より早く、別れの日はやってきた。

 ボルトにとって、ジョンソン氏はあこがれの存在だ。クリケットに夢中だった96年当時、アトランタ五輪のレースは、テレビで見た。あれから4403日。ピッチを刻んだジョンソン氏とは違う、196センチの長身から繰り出すストライド走法で、記録を塗り替えた。

 速すぎるゆえの、やっかみもある。ジョンソン氏と同席した国際陸連のディアク会長には、米国メディアの一部から、ドーピングを疑う質問も出た。それほど、あっさり記録が出てしまったが、ボルトは言う。「簡単に見えた? ノー、そんなわけないでしょ! (苦しくて)泳いでいるみたいだったよ」。

 この日は、21歳最後の日。レース直前、名前をコールされると頭をこすって「ゲッツ!」に似たポーズを取るなど、若さゆえのおどけた面も隠さない。まだ実力の限界は見えてない。「チャンピオンになるために、頑張ってきた。これからはトップにいられるように、もっと頑張るよ」。速くて、強くて、面白い。新時代のスプリンターが、誕生した。【佐々木一郎】

 [2008年8月21日9時18分 紙面から]


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