強化の成果!世界一のバトンリレー/陸上

- 3位でゴールするアンカーの朝原(左から2人目)
<北京五輪:陸上>◇22日◇男子400メートルリレー決勝
メダリストだけができるウイニングラン。それを信じて、日本選手団の高野進監督(47)はゴールの先でレースを見守った。手にしていたのは、でっかい日の丸。レース後、選手が国旗を身にまとって場内を回る姿に目を細めた。
「彼らは昨日、今日できたチームじゃない。長い時間かけてやってきたんです」。リレーのメダルは、日本陸上界の強化のたまものだ。個人では、世界との差がある。ならば、チームで世界に出よう。98年から高野監督は、日本陸連の短距離部長(当時)として代表を指導し始めた。
バトンパスをオーバーハンドからアンダーハンドに変えた。世界的に少数派で、走者が接近するために利得距離は稼げないが、失敗が少ない。今大会も波乱が続いた予選で、日本は危なげなかった。00年シドニー五輪以降の世界大会は7回連続で決勝に進出。高野監督は「今回は他国のアクシデントがあり、ラッキーな部分がある。長年続けてきて、天が与えてくれたプレゼント」と話した。
07年世界選手権は10台以上のカメラでレースを撮影。あらゆる角度から分析を行い、現場にフィードバックした。同大会は3走高平から4走朝原につないだテークオーバーゾーン(TOZ)20メートルのタイムは世界一だった。今年はさらにTOZの前後10メートルをプラスした40メートルを、3秒75で駆け抜ける目標タイムを設定。渡す側が速く突っ込み、受ける側は加速して飛び出す意識が徹底された。
1走の塚原は「僕らがバトンゾーンに入った瞬間は、僕らの瞬間になるんです。(バトンパスには)絶対自信があった」と振り返った。苅部コーチは「2走から3走はばっちり。実は練習で詰まっていたけど、2人が話してすぐに修正した。こいつらは、そういうことができるんです」と胸を張った。
今大会、リレー以外の陸上種目は惨敗が続く。高野監督は「リレーは僕のひざ元だったので、これが崩れた時は、自分の使命を考えさせられたでしょう」と、リレーの結果次第では進退をかけていた。リレーにここまで、魂を注入する国は、ほかにない。トラック種目で男子初のメダルを取ったのがリレーだったことは、決して偶然ではない。【佐々木一郎】
[2008年8月23日8時37分 紙面から]
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