星野監督がタイブレーク制導入に激怒
闘将が激怒した。国際野球連盟(IBAF)は25日(日本時間26日)、延長11回以降は、無死走者一、二塁の状況から攻撃を始めるタイブレーク制の導入を発表した。8月の北京五輪でも適用される見通しとなった。北京五輪の野球日本代表の星野仙一監督(61)は本番直前のルール改正に対し、強く抗議する姿勢を示した。実施されれば戦い方や練習の変更を強いられ、強力救援陣を中心に守りの野球を標ぼうする日本にとっては不利とみられるだけに、代表選手からも戸惑いの声が上がった。
寝耳に水の話だった。IBAFのタイブレーク制導入の報告を受けた星野監督は憤った。「オリンピックの約2週間前になってルールを変えるなんて、おかしいにもほどがある。だって我々は親善試合をするんじゃなくて、世界一を決める真剣勝負をするんですよ。どこにも相談なくIBAFが決めたのも納得できない。ひっくり返らないかもしれないが、強く抗議していく」。IBAFとの日本の窓口になっている全日本アマチュア野球連盟への連絡はこの日の朝になって。電子メールでだった。
これまでは勝敗が決まるまで無制限で延長戦が続けられたが、今回の取り決めは「延長戦の11回からは無死一、二塁に場面設定して試合を開始する」というタイブレーク制を導入するというもの。11回はどの打順から始めてもよく、打者の直前の2人が走者となる。例えば3番打者からの攻撃を選べば、1番打者が二塁走者、2番打者を一塁走者として開始される。12回以降も、その続きの打順で攻撃し、2人の走者を置く。
狙いは時間短縮。IBAFのシーラー会長は「延長戦は劇的な結果をもたらすが、五輪には向かない。テレビ放送などに適したスポーツであることを示したかった」と説明した。世界的な普及度が低く、メジャーリーガーの参加しない野球は、05年の国際オリンピック委員会(IOC)総会でソフトボールとともに12年ロンドン五輪で除外が決まった。昨春に就任したシーラー会長は五輪復活に危機感を持っており、まずはテレビ中継に対応しやすい競技であることをアピールする必要があった。
星野ジャパンにとっては逆風といえる。田淵ヘッドコーチが「1点をとって、1点を守る野球をする」と言うように、上原(巨人)藤川(阪神)岩瀬(中日)の抑えトリオを擁する日本代表は守りの野球。それが連打などを許さなければ起こりえないピンチの状況から始まり、当たりそこねの安打1本が決勝点につながるのではたまらない。「延長11回から無死一、二塁でスタートといわれてもな」と星野監督が納得できるはずもなかった。
また代表首脳陣は本番を想定した具体的な戦略を詰める段階にきている。この時期のルール変更は作戦の変更を強いられ、練習にも影響が出てくる。
28日にアマチュア野球3団体による協議会があり、IBAFへの抗議などの対応を協議する見通し。そしてIBAF副会長の日本代表編成委員会の松田昌士委員長(全日本アマ野球連盟会長)を通して事態に対処する。【寺尾博和】
[2008年7月27日10時10分 紙面から]
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