「現在、最も完成されたプレーヤー」。これが、コービー・ブライアント(レーカーズ)だろう。
多彩な得点スキルに並外れた運動能力、しかもそれを最も華麗な形で魅せられる選手であり、ディフェンス力も申し分ない。
リーダーシップについては疑問視されてきたが、07-08年シーズンは、そのイメージをも払拭できた好シーズンとなった。キャリア初のレギュラーシーズンMVP受賞。シャキール・オニール抜きでは、これもまた自身初のNBAファイナル出場。セルティックスとの頂上決戦では敗れたものの、シーズン途中からレーカーズに移籍してきたパウ・ガソルとのチーム・ケミストリーをうまくまとめ、好成績をもたらした。

- ラスベガスで行われたカナダとの親善試合でダンクシュートを決めにいくコービー・ブライアント(AP=2008年7月25日)
心から望んだ北京五輪ロースター入り
通常、ブライアントほどのキャリアがあるスーパースターは、もう国際試合には興味を示さないことが多いものだが、NBAファイナルを戦って疲れているにもかかわらず、今夏の北京五輪ロースター入りを、心から望んでいた。その背景には、彼が今までたどってきた厳しい道のりがあるといえそうだ。
2004年のアテネ五輪は、ロースター入りを果たせなかった。2006年、日本での世界選手権の際には、登録メンバーには名を連ねていたが、故障のため、出場できなかった。ブライアントが初めてUSA代表のユニホームをまとったのは、昨夏の米大陸予選なのである。
米大陸予選では、自身の実力を存分に見せつけ、「やはり、コービー・ブライアントがいるのといないのとでは、雲泥の差がある」とUSAコーチ陣、各国コーチ陣をうならせた。USAシャシェフスキー・ヘッドコーチは「コービーは特に、“相手チームのエースのストッパー”として、素晴らしいディフェンダーぶりを見せた。あれほどのスコアラーが、ディフェンスで貢献したいと、自分から申し出てくれた。素晴らしいことだ。北京でも、また同じ役割を頼むつもりだ」と全幅の信頼を置いていた。

- ニューヨーク・ロックフェラーセンター前で行われたファンイベントで笑顔を見せるコービー・ブライアント(2008年6月30日)
最も完成されたプレーヤーが目指す“最高峰”
今シーズン中に指を故障し、USAチーム代表のジェリー・コランジェロから、五輪参加の可能性を問われたときには「心配しないでくれ。僕はプレーする。ケガのことは、五輪が終わってからケアする。大丈夫だ」と即答したという。大きな挫折を体験し、そこからよみがえった。常に“最高峰”を目指す男にとって、金メダルはぜひとも、1度は欲しいものに違いない。
「自分の国のためにプレーする。これ以上の栄誉はない。僕は、この機会を得られたことに、本当に、本当に、感謝している。金メダルを絶対に、持って帰るつもりだ」。ブライアントは、北京五輪に出場できることを心から喜び、勝利への情熱をあらわにした。
NBAファイナルで、このスーパースターに対し、1つだけ批判があった。「彼は、現在最も完成されたプレーヤーかもしれないが、肝心の“チームを勝利に導く”ということができない」と。
ブライアントにとって北京が、この批判をくつがえすものになるのかも注目される。
コービー・ブライアント

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96年、高校から直接NBA入り。以来、スラムダンク・コンテスト優勝、オールスター選出10回、オールスターMVP受賞2回、NBAファイナル優勝3回、「獲得していないものは、“シャキール・オニール抜きのファイナル優勝”と“五輪金メダル”だけ」と評されるスーパースター。その華麗なプレイスタイル、そして、負けず嫌いな努力家ぶりには、ジョーダンとの比較も常につきまとい、現役最高の呼び声も高いプレーヤーである。
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