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コラム


やっぱり北京はパクリ王国

2008年8月06日

UCC上島珈琲ならぬUBC上島珈琲

 北京五輪開幕まであと2日。社会面では今日から、広部玄記者が五輪開催の中国の現状を伝えるルポ「熱チュウ大陸」がスタートします。第1回は、開幕直前で盛り上がる北京の街で横行する「パクリ疑惑チェーン店」の話。日本で有名な「UCC上島珈琲」とそっくりの「UBC上島珈琲」は北京を含め中国で計約800店も派手に展開し、「本家」よりも有名に。“偽ディズニーランド”石景山遊楽園では、「マクドナルド」と「ケンタッキーフライドチキン」を合体させたような名称の店が堂々営業中。いずれも“疑惑”を否定するが…。

 北京市内を移動すると「UBC COFFEE 上島珈琲」という喫茶店の看板を頻繁に目にする。市街地だけで数十店はある。日本で上島珈琲といえば、有名な「UCC上島珈琲」がある。しかし北京では「UBC」。両社は関係あるのか。まずは永安里地区の「UBC」に入ってみた。

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北京市内には「UBC上島珈琲」が多数あり、思わず「UCC上島珈琲」と間違えてしまう

 店内はゆったりしたボックス席が並び、高級感漂う雰囲気。アイスコーヒーは1杯28元(約440円)と高い。店員に「UCCとの関係は」と聞くと「UCC? 知らない」と答えた。

 さっそく「UBC上島珈琲」北京支社を直撃。取締役の1人は、UCCとの関係を聞くと「答えたくない」。UBCの上海本社に電話すると「UBCとUCCはまったく無関係」とパクリを否定した。本社によると、UBCは1960年代に台湾で誕生し、97年に中国本土に進出。その後、台湾と中国のUBCは無関係の別会社になり、中国のUBCは急拡大し、現在全土に約800店あるという。

 だが「『UBC』は何の略語?」と聞いても本社担当者は答えられなかった。日本のUCC上島珈琲は1933年創業。51年に「上島珈琲株式会社」になった。北京在住の30代日本人男性が言う。「UBCはUCCのパクリだと思う。でも北京ではUBCが有名で『本家』と思われているから皮肉ですね」。

 一方昨年、多数のアニメキャラをパクっていた疑惑が浮上し「偽ディズニーランド」として問題になった北京市の国営遊園地「石景山遊楽園」では現在も、マクドナルド(中国表記「麦当労」)とケンタッキーフライドチキン(同「肯徳基」)を合体させたような名称のファストフード店「麦肯基(通称マクタッキー)」が堂々営業していた。

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「偽ディズニーランド」石景色山遊楽園ではマクタッキー(麦肯基)が堂々営業していた

 店内はほぼ満席。ハンバーガーとフライドチキンがメニューにあるのがウリ。チキンバーガーが10・5元(約164円)。客の中国人男性(28)は「チキンがパサパサして固い。バーガーのレタスもしなびていて、マクドやケンタッキーよりまずい」と酷評した。

 このマクタッキー、石景山店だけでなく、中国全土に計約50店チェーン展開している。本社は広東省広州市だが、同社の動画CMでは「1960年代半ばに米国西部で生まれた」と主張している。本社に疑惑を聞くと「我々はマクドナルドやケンタッキーとは何の関係もない」。また、石景山店についても「石景山店は我々のチェーン店ではない。関係ない店だ」と不可解な返答をしてきた。本当なら石景山店は「マクタッキー」をさらにパクった偽店となるが…。石景山遊楽園にも聞くと「広州市の本社との関係はコメントしない」とこれまたナゾの回答。何が「本物」か分からなくなってきた。

UCC「対応を検討中」

 日本のUCC上島珈琲(本社・神戸市)では「UBC」の存在を把握しており「UCCと間違えて利用されたというお客さまも多くいらっしゃり、当社にも問い合わせがあります。現状については、専門家とも相談して対応を検討中です」と話している。

まだまだある!「西単109」「千与千尋」

 北京市中心部の若者が集まる繁華街、西単(シーダン)には「109」と大きく書かれた4階建てデパートがあった。通称「西単109」と呼ばれるデパートの正式名称は「西単婚慶大楼」。2005年、当初は洋服店などが入るファッションデパートとして開業し、06年に結婚関係用品の専門デパートになった。西単は日本の東京・渋谷や原宿のような場所だけに、有名な「SHIBUYA109」を連想させる。西単109の店員は「全く関係ない。ここの住所である『西単109番地』が由来」と答えた。

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思わず東京・渋谷の「109」と思ってしまう、北京・西単の「109」

 このほか、市内の光華路には、01年公開の日本アニメ映画「千と千尋の神隠し」に似た「千与千尋」という名の菓子店も。北京など中国では、ブランド品やキャラクターグッズの偽物が横行しているが、日本などの有名店やチェーン店の名前そのものをパクっていると疑われる店も目立っているようだ。

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アニメ「千と千尋の神隠し」を連想してしまう、北京の菓子店「千与千尋」

広部玄(ひろべ・げん)

 1970年生まれ。早大政経学部卒。編集局整理部などを経て、95年から文化社会部で社会、芸能など担当。裏社会ネタ、異常性犯罪、オウム関連、ライブドア・株関連、アイドル関連、格闘技マニアック情報などがやや得意。01年からの連載「広部が行く」はまったく惜しまれることなく03年ごろ自然消滅。それ以外のこれまでの連載は「広部玄の株やっちゃうぞ」「広部玄のイケイケ(アテネ五輪)」「ニッポン珍事情(←記憶している国民は推定3人以下)」「広部玄の先モノ買い」(←同推定2人以下)「見た・聞いた・思った」(←約半年で事実上解任)「広部玄の勝手にアイドルカウンセリング」(←最近著しく頻度が落ちている)などがあったが、あとは忘却。07年の小島よしお肯定派。




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