スナック一斉閉店“日中友好”灯が消える…
2008年8月12日
北京市内にある「日本人向けスナック」(日式スナック)の約半数が、五輪開会までの約1カ月の間に“一斉閉店”していたことが分かった。一時期は100店以上あり、日本人駐在員や出張者の「夜のオアシス」でもあったが、公安(警察)当局の厳しい営業規制の影響を受けた。「連れ出し売春」の温床であるKTV(個室付きカラオケクラブ)とは違い、スナックは一般的に「健全店」。閉店の背景には、「実は無許可営業店がほとんど」という事情があるようだ。
小型キャバクラ
北京市内の、ある「日式スナック」に入ると、店内は10程度のカウンター席とボックス席が多数。日本人の中年男性がカラオケで日本の演歌を熱唱していた。曲目リストは、日本のカラオケ店とほぼ変わらない最新版。日本人男性客の横には、スーツ姿の若い中国人美女店員がそれぞれ座り、日本語で会話していた。日本のスナックや小型のキャバクラのような雰囲気だ。
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- 北京の「日本人向けスナック」店内は日本のスナックやキャバクラとほとんど同じ雰囲気だ
北京に長期滞在中の30代常連男性客は「スナックには売春をしている女性は基本的にいないし、日本のキャバクラのように若い美人女性とも友達のように話せるから楽しい。中国語の勉強やストレス解消にもなる。客の大部分が日本人駐在員か出張者で、毎日通ってる人もいる」と話した。
北京には、こうした日本人向けスナックが多数ある。地元紙などでは「美人スタッフ」がいると宣伝。「売春システム」はなく店内で飲みつつ若い女性と話したり、カラオケをする程度。料金は飲み放題コースだと1人200元(約3100円)前後が相場だ。
五輪景気にわいているのかと思いきや、この日本人向けスナックの約半数が最近“一斉閉店”したという。日式スナックは各地に点在する大型ビルの中などにあり、最近急増。「以前から存在しており、約3年前は北京市内で50店程度だったが、最近は120軒前後まで増えた。五輪など向けて大型ビルが最近増えたため、スナックも比例して増えたと思われる」(スナック店員)という。
日式スナックの中国人経営者によると、五輪開会約1カ月前から、公安当局がスナックに対し「営業をやめろ」と厳しく警告し始めたのが原因。この経営者は「結局、摘発を恐れて慌てた北京のスナックの約半数が、これまでに閉店してしまった」と証言した。ある高層商業ビルにはスナックが25軒前後入っていたが、同ビル関係者は「最近、約25店のうち多くが次々閉店。残るのは5、6店のみになった」と話した。
「裏営業」の店も
公安当局の「日式スナック」に対する取り締まりは厳しく、別の経営者は最近、スナックが複数入居するビルを武装警察が取り囲み、立ち入り検査していたシーンを目撃したという。「急激に店が増え、目立っているためか、日本人向けスナックは強くマークされているようだ」(同経営者)。
背景には、こうしたスナックのほとんどが、実は「無許可店」という事情があるようだ。ある「許可店」のスナック経営者は「北京のスナックの大部分が営業許可をとっていないのが現実。スナックの営業許可をとるのは大変なため、多くは喫茶店や普通の飲食店と偽って許可をとっている。だから公安から警告されると慌ててすぐ閉店してしまうわけ」と解説した。
また「裏営業」している店も。看板を撤去し、店のドアの鍵も閉めていたが、常連客が来た時だけ極秘営業していた。北京の日本大使館によると、現在北京市に長期滞在している日本人は約1万2000人。北京の「スナック文化」、五輪後はどうなるのか? 許可店の同経営者は「スナックには、日本人男性駐在員の強い需要がある。今回一斉閉店しても、五輪後はまた一部が再開し、できたりつぶれたりを繰り返していくのではないか」と推理した。【広部玄】
朝陽区に目立つ
◆北京のナイトスポット 日式スナックは、日本関係機関などが多い、朝陽区に目立っている。関係者によると、金持ちの中国人がビジネスとして経営する店と、現地に住んだり滞在している日本人が経営する店と、半々程度の割合という。このほか、三里屯(サンリートン)という地区には、バーやディスコが集まり、外国人客や若い中国人女性らが多く、深夜まで盛り上がっている。最近は、湖のほとりに広がる什刹海(シーシャーハイ)というエリアが人気。古い街並みの中に、おしゃれなバーやレストランが並び、デートスポットになっている。また、売春の温床となっている店が多い、個室付きカラオケクラブ「KTV」も、日本人向けの店は朝陽区に多い。



