酒のつまみはカイコのサナギ
2008年8月20日
日本人フードコンサルタントが市場案内
さまざまな「食問題」が起きている中国。この際北京の巨大市場に潜入、中国人の「食」の原点をのぞいてみることにした。北京の市場に「中国人より詳しい男」、フードビジネスコンサルタント永田雅乙氏(32)を現地滞在中にキャッチ。案内を依頼した。そこにあったのはアヒル、ニワトリのつま先、豚の耳、カメ、ザリガニ、カイコのサナギ…などなど。日本では“想定外”の食材でもすべて食い尽くし、使い尽くす実態。無駄はなし。飽くなき「食」への追求という文化を垣間見ることができた。
生臭さと熱気
永田氏に案内してもらったのは、北京市朝陽区の巨大市場「東郊市場」。全長数キロの細長いエリアに食材、雑貨、衣料品、靴などの1万近い店がずらり並んでいる。多くの人や品物が行き交い、凄まじい活気だ。
永田氏は日本を中心に、これまで約4500の飲食店をコンサルタント。近年は中国での活動に力を入れており、毎月約10日間は北京など中国で活動している。滞在時は、毎日東郊市場で食材をチェックし、朝食まで市場内で済ます。今回もちょうど北京滞在時をキャッチできた。地元の中国人を上回るほど市場に精通していると自負する永田氏は「結構インパクトがある食材があります。肉と海鮮の市場を見てみましょう」と勧めた。
肉と海鮮の市場だけで、床面積約5000平方メートル、計約100店と広大。中に入ると、独特の生臭さと熱気が漂ってきた。まずは肉コーナーへ。入り口付近こそ普通の牛肉や豚肉がつるされているが、徐々に見慣れぬ食材が出てきた。
-
- 多数積まれていた「アヒルの足」
次から次へと
まずはニワトリのつま先。その横には、ニワトリの心臓や頭部のみも積まれていた。もっと見慣れないのが、アヒル。アヒルの手羽先(500グラム約7元=約110円)のほか、レバー、砂肝まで。永田氏は「ニワトリのつま先は通称『モミジ』と呼ばれ、中国人は大好きです。アヒルも好物。手羽先、内臓まで全部食べるんです」と解説した。
豚足の横には「羊の足」。さらにその隣にはひらひらしたうちわのようなものが。「豚の耳」だった。いずれも1つ6元(約96円)。肉店にもいい店と悪い店があるという。「店先にあるまな板がきれいな店は、管理がしっかりしたいい店が多いです」(永田氏)。
次は海鮮コーナーに移動。各店に並ぶ多数の水槽の中にいる、大量のカニとシャコはまだいい。ある店に体長約30センチの、ごく普通のカメ(1匹20元=約320円)が何匹もいた。「ブラジルガメ」というらしいが、まさか食べるのか。「このカメも中国人は全部食べます。ナベに甲羅ごと入れて、バラして食べる。おいしいですよ」(永田氏)。
隣の店の大型水槽では、時折話題になる“中国産”ウナギ(500グラム20元=同)がうようよ。少し歩くと、ある店に深紅の体をした生物が多数。ザリガニだ! 永田氏は「ザリガニはいためて食べるんです」と解説。1キロ(約30匹)8元(約128円)と安い。
最後にインパクト抜群の食材を発見。茶色の団子みたいなものが多数うごめいていると思ったら、カイコのサナギだった(1キロ28元=約448円)。このサナギはいためて、酒のつまみにするという。

- いためて酒のつまみにするらしい「カイコのサナギ」
管理意識低い
永田氏は最後に「中国では正直言って、食材の管理に対する意識がまだまだ低いのが現状。中国人もよく食べ物に『あたって』、腹を壊している。ただ見習うべき点は、食材はすみからすみまで全部食べ、捨てる部分や無駄がまったくないこと。この意識は家庭にも浸透しています。こうした中で、一般の消費者が、自己責任で食材を見極める力を身に着けている側面はあるといえます」と総括した。
最後に、永田氏に「東郊市場」内にある「お茶専門市場」も案内してもらった。ジャスミン茶を飲むと、サナギやザリガニのことを忘れ、やっと落ち着いた気分になった。
-
- 外見はごく一般的なカメ(ブラジルガメ)が食材として売られていた
-
- 箱の中には多数のザリガニがいた
「永田ラッパ」ひ孫
◆永田雅乙(ながた・まさお)1976年(昭51)7月27日、東京生まれ。慶大卒。「永田ラッパ」の異名をとった映画会社大映社長、永田雅一氏のひ孫として幼少期から帝王学を学ぶ。14歳からさまざまな飲食店で現場の仕事を学ぶ。16歳で「創作イタリアン」の初店舗プロデュース。「現場主義」をモットーに日本を中心に国内外19カ国、計約4500店舗(うち中国で約350店舗)のコンサルタント実績。現在、外食産業専門コンサルタント会社「ブグラーマネージメント」代表取締役社長兼CEO。近年、海外では中国に力を入れて活動している。




