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コラム


懲りないダフ屋 大量摘発後もすぐ営業

2008年8月21日

 大会も終盤に入り、ダフ屋の活動が活発化してきた。会場近くには深夜、チケットの束を持った怪しい目つきの男が多数集結。人気種目のチケット入手を希望する人らに、時に数十倍もの法外価格で売り付けている。海外から遠征してきた“ゲリラダフ屋”まで出没。一斉摘発数日後なのに、公安(警察)車両の近くでも堂々と“営業”する無反省ぶり。ダフ屋に群がる客を目当てに、偽五輪グッズや偽ブランド時計を売る便乗いんちき業者まで登場し、一部会場周辺は“無法地帯”と化している。

サッカー10倍、マラソン20倍

 19日深夜、五輪公園に沿って走る幹線道路の一角は、多数の群集でごった返し妙な熱気に包まれていた。五輪チケットの束を持った計約30人のダフ屋がそれぞれ、中国人の若者のほか、欧米人、日本人ら多数の“客”に囲まれ「ハウマッチ?」「多少銭(ドゥオシャオチェン=いくら)?」などの声が飛び交っていた。

 約30枚を手に持った、目つきが鋭い30代の中年の中国人男は、23日のサッカーのチケット(正規価格200元=約3200円)を10倍以上の2500元(約4万円)で、24日の男子マラソンのチケット(正規価格50元=約800円)を20倍の1000元(約1万6000円)で売り付けていた。欧米系の若い男性2人組が「2枚ある?」と聞き、1000元札2枚を中年男に渡し、マラソンチケットを入手。ガッツポーズをした。

不気味な笑顔で「買ってくれ」

 別の中国人ダフ屋は、日本人を“良客”と思っているようだ。「昨日も日本人3人に野球の券を売った。日本人はよく買ってくれる。あなたもこのチケット、全部買ってくれないか?」と不気味な笑顔で約10枚の束を突き付けてきた。

 ダフ屋はこの日、周辺に30人前後おり、それに群がる“客”も計数百人。中国人の男が多いが、中には50枚以上のチケットを抱え“大人気”だったアフリカ系の男や「4日前ドイツから北京に来た」と話すドイツ人の男2人など、五輪荒稼ぎを狙う外国人“ゲリラダフ屋”も目立った。夫婦で密売していた中国人や、「会社のくじで当たった」数枚を売りに来た、ダフ屋デビューの中国人男もいた。

 この場所を連日歩いている男性(35)は「ダフ屋の姿はここ数日、急に増えてきた。閉会が近づき、活動を活発化させているのでしょう」と肩をすぼめた。

 10~20倍程度の法外な料金を提示するダフ屋が多く、中国人の男は20日のバスケットボールの試合(正規料金200元)に4000元(約6万4000円)の額をつけ提示。ある客は「人気競技では50倍とか100倍近くの額を提示されたこともある」と話した。

 正規料金より高い行為でチケットを転売する「ダフ屋」は、中国語では「黄牛党(ホワンニュウダン)」「票販子(ピョウファンズ)」などと呼ばれる。ダフ屋行為は違法。五輪期間中、公安当局も厳しい目を光らせており15、16日にダフ屋計221人を拘束したばかり。こうした大量摘発数日後にもかかわらず、早くも多くのダフ屋が懲りずに“営業”していた格好だ。

 ダフ屋らによると、中国当局が大会前、各学校や関係先などに大量に配ったチケットを入手したり、他人の身分証を集めて大量に購入したものなどを販売しているようだ。市民向け五輪チケットは約700万枚販売されたが、中国が国内に大量に割り当てたこともあり、不足が生じた。それに乗じてダフ屋が荒稼ぎを狙っている構図もある。

偽ロレックス、偽五輪グッズ

 一方この日、ダフ屋に群がる客を目当てに、いんちき商売人も大集合。時計の「偽ロレックス」を1個100元(約1600円)で売り付けてくる中国人男や、旗、シールなどの「偽五輪グッズ」を見せ、しつこく「買って」と迫る女も。ダフ屋と客向けに、ミネラルウオーターを1本2元(約32円)で路上販売し始めた中年女性まで出現。会場周辺は“無法地帯”と化していた。

 数十メートル離れた地点には公安車両3台がとまり、公安も周囲に複数いた。しかし、ダフ屋らは無反省にも販売を続けていた。

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五輪公園近くの路上で深夜、大量のチケットを持ったダフ屋に群がる“客”ら

広部玄(ひろべ・げん)

 1970年生まれ。早大政経学部卒。編集局整理部などを経て、95年から文化社会部で社会、芸能など担当。裏社会ネタ、異常性犯罪、オウム関連、ライブドア・株関連、アイドル関連、格闘技マニアック情報などがやや得意。01年からの連載「広部が行く」はまったく惜しまれることなく03年ごろ自然消滅。それ以外のこれまでの連載は「広部玄の株やっちゃうぞ」「広部玄のイケイケ(アテネ五輪)」「ニッポン珍事情(←記憶している国民は推定3人以下)」「広部玄の先モノ買い」(←同推定2人以下)「見た・聞いた・思った」(←約半年で事実上解任)「広部玄の勝手にアイドルカウンセリング」(←最近著しく頻度が落ちている)などがあったが、あとは忘却。07年の小島よしお肯定派。




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