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コラム


犬料理「こっそりやってます」

2008年8月24日

 北京市当局が五輪期間中、異例の「犬料理禁止令」を出している。五輪組織委員会の契約ホテルやレストランが直接の対象だが、多くの店では犬肉を使った料理を自粛中。北京では、犬料理は韓国料理店のほか、中国の貴州省や雲南省の地元料理店でも出されており、一部店では人気メニューに。犬料理をめぐっては、88年のソウル五輪や02年のサッカー日韓W杯の時も物議をかもした。ただ北京では期間中も「こっそりやっている」と言って犬料理を続けている専門店もあった。

客は激減

 北京市中心部の大型「犬料理専門店」では、犬肉を使った料理を現在も提供していた。韓国料理をベースに、中華風の料理法を加えた味がウリという。メニューを開くといきなり各部の肉の解説がついた犬の大きなイラストが描かれ、ページをめくると、犬を意味する「狗」の文字が入ったメニューがずらり。犬の丸焼き(888元=約1万3900円)、犬の焼き肉(218元=約3400円)のほか、犬肉のしゃぶしゃぶ、犬肉の水ギョーザ、犬肉のラーメンなどがあった。

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北京市中心部の料理店では今も犬の焼き肉など「犬料理」を提供

 同店は外国の客が多い有名店という。店員は「客の数は五輪期間中、かなり減りました。当局が『五輪期間中は犬料理を出すな』と禁止通達を出していることの影響を受けています」と話した。「五輪期間中の今、犬料理を提供しても大丈夫なのか」と聞くと、別の店員は「こっそり出しています」と答えた。

 北京市当局は7月までに、百数十軒の五輪組織委員会の契約ホテルやレストランに対し、五輪期間中に「犬料理を提供するな」と犬料理禁止令を出していた。市の飲食業界協会も加盟店などに対し、提供自粛を呼び掛けており、実際に多くの犬料理提供店が、犬のメニューを中止している。市当局が、犬は人間の「友人」や「家族」に近いと考え、多くの諸外国で犬を食べる習慣がないことに配慮。動物愛護精神を対外的にアピールする狙いもあるとみられている。しかし一部店で現在も出し続けていた。

滋養強壮

 犬料理は北京市において、一部韓国料理店で出されているほか、犬料理を食べる伝統がある貴州、雲南料理店の一部でも扱っており、困惑する店も。ある貴州料理店では「犬肉のしゃぶしゃぶ」が1、2を争う人気メニュー。取材に対しては「犬は食べると体が温まるので、冬だけ出します。夏は犬料理は出していません」と答えたが、客に対しては「普段人気料理ですが、五輪期間中は犬料理は出せないのです」と説明していた。別の貴州料理店でも「7月下旬から五輪期間中は、犬料理を中止しました」と説明した。

 また、ある韓国料理店では店員が「犬料理? ありますよ」と答えた。「五輪期間中でも大丈夫なのか」と確認すると、直後に別の店員が出てきて「今は犬料理はありません」と強く否定するなどしどろもどろ。別の韓国料理店では「五輪期間中は初めての客には犬は出しません。常連客のみ出します」と答えた。ある犬料理専門店に行くと「しばらく営業停止」と書いた紙が張られていた。

 犬料理店などによると、犬は滋養強壮効果などがあるという。ある店では「うちの犬は『黄犬』という種類。北京市内の施設で育てられている」と説明した。

日韓W杯

 犬料理をめぐっては、88年のソウル五輪でも韓国政府が、国際社会の評判を懸念し、都市部での営業を取り締まったことが話題となった。日韓共催した02年のW杯でも、国際サッカー連盟(FIFA)や一部スター選手が韓国の犬料理を「虐待だ」と批判し、問題になった。

 中国当局も今回、そうした声が出る前に“先手”を打った格好とみられるが、ある犬料理を出す店では「今、多くの店が犬料理を中止してます。うちは五輪組織委員会と契約している店ではないので、出しても罰はないと思いますが、良くない。ただ根強い人気があるので…」と困惑気味に話した。

広部玄(ひろべ・げん)

 1970年生まれ。早大政経学部卒。編集局整理部などを経て、95年から文化社会部で社会、芸能など担当。裏社会ネタ、異常性犯罪、オウム関連、ライブドア・株関連、アイドル関連、格闘技マニアック情報などがやや得意。01年からの連載「広部が行く」はまったく惜しまれることなく03年ごろ自然消滅。それ以外のこれまでの連載は「広部玄の株やっちゃうぞ」「広部玄のイケイケ(アテネ五輪)」「ニッポン珍事情(←記憶している国民は推定3人以下)」「広部玄の先モノ買い」(←同推定2人以下)「見た・聞いた・思った」(←約半年で事実上解任)「広部玄の勝手にアイドルカウンセリング」(←最近著しく頻度が落ちている)などがあったが、あとは忘却。07年の小島よしお肯定派。




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