「居候男」友にメダル届けられず
2008年8月11日
フェンシング 西田祥吾(25)
居候男の夢は、はかなく散った。西田は「序盤リードして、気持ちが守りに入った。追い付かれて焦り、弱気になった」とうなだれた。マイナー競技とされるフェンシングでも競技人口が少なく、期待度が低い男子エペを日本協会にアピールしたい。その一心で臨んだ大舞台だった。
どん底からはい上がった。法大卒業後は新聞販売店を営む鹿児島の実家で活動費を稼ぎ、昨春から練習相手を求めて上京。千葉の友人宅に居候してトレーニングを続けた。「下宿代」は1カ月1万円。母校の法大を拠点に文字通り汗水垂らして技を磨き続けた。
日本協会は五輪で有望なフルーレ代表7人を昨年4月から都内のナショナル・トレーニングセンター近くのマンションに住まわせ、遠征費用も一部負担し集中強化を図った。一方、男子エペはアテネ五輪まで3大会代表を輩出できず、同競技個人6種目中最長ブランク…。強化費は少なく、西田はアルバイトなどで費用を捻出(ねんしゅつ)しながら、ほぼ自腹で海外を転戦し、ポイントを重ねて北京にたどりついた。
最重量770グラムの剣に大型のつばという特殊な剣を使うエペは、体格とパワーに勝る欧米勢の独壇場。シドニー五輪で韓国の金永浩が優勝したフルーレと違い、アジア勢は1度も頂点に立っていない。無念の初戦敗退後、西田は「いつもと違って、雰囲気にのまれた。声援が聞こえた。(結果を)どう報告していいか」と肩を落とした。下宿させてくれた友人に約束したメダルは届けることができないが、きっと笑顔で健闘をたたえてくれるはずだ。
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- 男子エペ1回戦で敗退した西田(新華社=共同)



