シングルス2勝で「快挙」演出
2008年8月12日
バドミントン 広瀬栄理子(23)
広瀬は、隣のコートで起きた大歓声に見向きもせず、自分の試合に集中した。末綱、前田組が、世界1位のペアを破る大金星の横で黙々と相手に立ち向かった。そして、第3ゲームで力尽きた。スエマエの大金星に沸く会場から広瀬はそっとコートを去った。
昨年7月のフィリピンオープン2回戦だった。フォアの前のシャトルを取りに行く時に右太ももの付け根に痛みが走った。重度の肉離れだった。五輪レースが始まったばかりで「もう五輪は無理かもしれない」と目の前が真っ暗になった。
スピードが武器の広瀬にとって足の故障は命取りだ。2週間で退院し、つらいリハビリに取り組んだ。水中で歩行練習を続け、以前より足腰を鍛えるために激しいトレーニングも課した。「とにかくやるしかない。私にはバドミントンしかない」。3カ月後には見事に復帰した。
「私も、もっとあこがれられるような選手になりたい」。日本バドミントン界は、オグシオというヒロインの誕生で、一気にスポットを浴びた。同じ三洋電機所属の広瀬は、オグシオの1年後輩。目の前でヒロインを見ながら、いつもそう思っていた。そのために常に笑顔を絶やさず、こつこつと努力してきた。
バドミントン関係者は、口をそろえて、けがさえなければ、広瀬が最もメダルに近いと話していた。素早い動きは中国の選手にも引けを取らない。三洋電機の喜多監督は、五輪前に「スポーツに『たら』『れば』はありませんから」と、広瀬のけがを悔しがった。
メダルには届かなかったが、日本の先陣を切って、2勝を挙げ3回戦に進んだ。前回のアテネ五輪で、日本代表はシングルス5人、ダブルス4組を送り込み、女子シングルスの森の1勝に終わった。広瀬の勢いが、間違いなく日本バドミントン界に火を付けた。
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- 女子シングルス3回戦で、フランス選手と対戦する広瀬栄理子(共同)



