次は「がん倒す」手術は2週間後
2008年8月14日
競泳男子200平 シャントー(24)
泳げる喜びをかみしめながら、シャントーは必死に水をかいた。200メートル平泳ぎ準決勝、2分10秒10で全体10位。決勝進出には0秒13、届かなかった。それでも、満足だった。「価値あるレースだった。ここに来られてうれしい。こんな経験はできないからね」。電光掲示板で自己ベストを確認すると、満足そうにほほ笑んだ。
6月の全米選手権で、国内第一人者のハンセンを押しのけ、初の五輪切符を手にした。その直後、シャントーは意外な形で再び脚光を浴びることになった。「最初は風邪かと思った。でも違った。がんだった」。微熱を感じ、恋人の忠告で医者に行った。思いもよらない診断結果が待っていた。初期の睾丸(こうがん)がん。選手権の1週間前の告知だった。
夢だった五輪を捨てるか、命を削るか。葛藤(かっとう)の末、下した決断は「手術延期」だった。04年のアテネ五輪代表選考会、2種目で3位に終わり、あと1歩で五輪を逃した。もう同じ思いはこりごりだった。フェルプスらの激励を受け、北京へ必死の練習を続けてきた。
まだ役目は残っている。感謝の気持ちを込めて、チームメートを応援することだ。約2週間後には、手術が待っている。「これから人生最大の闘いに挑む。だけど、僕はがんを倒すつもりだ。水泳に取り組んだのと同じようにね」。北京を人生のハイライトにはしない。競技で培った精神力で、病魔を克服する覚悟だ。



