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コラム


日本人の夫が支え

2008年8月18日

女子マラソン ヤマウチ(35)

 日本の名字を持つ英国代表ランナーが、北京の42・195キロをさわやかに駆け抜けた。英国外務省に籍を置く「走る外交官」マーラ・ヤマウチ(35)が2時間27分29秒の6位と健闘した。途中で仕掛けて終盤に失速した昨年の世界選手権(9位)を教訓に、40キロすぎまで我慢して第2集団につけ、見せ場をつくった。

 「きょうは最後まで強い走りができた。メダルを目指していたけど、すごくうれしい。(女子で)6位は英国史上最高に並ぶ成績だから」と喜んだ。レース後、競技場の外で待ち受けていた夫の山内成俊さん(37)と抱き合った。

 名門オックスフォード大卒で、英国大使館一等書記官の肩書を持つ。98年からは日本に駐在。サッチャー元首相の来日時や、サッカーの02年W杯で通訳を務めた。02年10月に結婚。大学でクロスカントリー選手だったヤマウチは「本格的に走るのは今しかない。五輪に出たい」と訴え、夫を仰天させた。日本での任期を終えると夫婦で英国へ。外務省の勤務をパートタイムに切り替え、練習を始めた。

 05年末に北京を目指すため休職し、拠点を東京に移してランナーに専念してきた。山内さんも妻のサポートのため昨年3月に証券会社を辞職。家事を全面的に受け持ち、多摩川沿いの練習コースを自転車で伴走した。独学でトレーニング法を学び、コーチとして遠征や合宿に同行。今年1月の大阪国際でマラソン初優勝し、北京での快走につなげた。ヤマウチは「走りに集中できるよう環境を整えてくれた。彼がいなければ競技は続けられなかった」と夫に感謝した。

 84年ロサンゼルス五輪で6位入賞した元英国代表プリシラ・ウェルチは、当時39歳の大ベテランだった。ヤマウチも13日に35歳になったばかり。「これからも東京を拠点に走りたい」と現役続行を宣言した。国境を越えた夫との二人三脚で、目指すは地元開催となる4年後のロンドンだ。【大池和幸】

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女子マラソンで6位となり、喜ぶヤマウチ(左)と夫の山内さん(共同)

マーラ・ヤマウチ

 1973年8月13日、英国・オックスフォード生まれ。オックスフォード大学政治経済学部を卒業後、96年10月に英国外務省に入省。98年から02年まで日本に駐在。04年ロンドンで初マラソン。06年ロンドンではラドクリフに次ぐ英国歴代2位となる2時間25分13秒を記録。旧姓はマイヤーズ。162センチ、51キロ。




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