自然、強豪、知名度との孤独な戦い
2008年8月24日
男子MTB 山本幸平(23)
残りの3周は、走らせてもらえなかった。1周4・19キロを8周する、男子マウンテンバイクのクロスカントリー。山本幸平(23=ブリヂストンアンカー)は規定のタイムをオーバーし、係員にレースを止められた。46位。「正直、厳しいですね。世界との差はすごいあると、あらためて思いました」。話しているうちに、涙声になった。
世界と何が違うのか? 「それが分かっていないから、こういう差になる」。2年前からフランスに単独で渡り、世界と戦う準備をしてきた。「もうちょっとやれるかなと思ってきた。でも五輪にかける思いはみんなすさまじい」。もともと五輪出場枠がなかった。上位国が出場枠を返上し、繰り上がったが、そのレベルでは戦えなかった。
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- マウンテンバイク男子で46位の山本幸平(共同)
凸凹の山道を登り、下る。歩くような速さになるほどのきつい坂もある。転倒も珍しくない。泥まみれになる。その迫力に、観客が沸く。日本ではマイナー種目だが、その魅力を山本は訴える。「本当の大自然で競技をする。練習だと、鳥の声も聞こえるし、川の音など、自然を肌で感じられます。今のストレス社会には、いいと思いますよ。健康にもいいですし」。
競技への関心が高まり、欧州強国のような環境が整えば、強化に直結することは間違いない。フランス人選手がトップでゴールに向かう様子を、山本はうらやましそうに見つめていた。「今、できることはやりました。4年後は、メダルを取りにいきたい」。観戦に訪れた母美智子さん(50)は「納得いくまでやってくれればいい」と背中を押した。【佐々木一郎】



