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コラム


目標はW杯、五輪に男子サッカー似合わない

2008年8月14日

 「男子サッカーに五輪は似合わない」。正直、そう思う。日本が1次リーグで敗退したからとか、1勝もできなかったからというつもりはない。勝ち負けではない。W杯も1次リーグで敗退するのだから、結果は妥当でもある。日本の成績に関係なく、やはりサッカーは五輪に似合わない。

 今回ほど選手供出を巡って各国協会とクラブが争ったことはない。W杯ならまだしも、五輪まで選手を拘束されるのはクラブにとってはたまらない。ただでさえ厳しい日程なのに、これ以上選手に負担をかけたくないと思うのは当然だ。国によって温度差もある。日本など力を入れる国もあるが、それほどでもない国もある。もちろん、世界最高峰の戦いにはならない。

 銅メダルに輝いた競泳の松田は「4年間、このためにやってきた」と言った。太田は日本フェンシング界を背負って戦った。だからこそ周囲に感動を与えるし、心から応援したいと思える。しかし、サッカーは違う。前回は「アテネ経由ドイツ行き」。選手たちにとって五輪は「経由地」でしかない。真の目標はW杯。サッカーには4年間、五輪のために人生をかける選手はいない。

 女子は違う。W杯はあっても、五輪の方が上。「女子サッカーのために」という必死さが、選手から伝わってくる。今大会で実施競技から外れる野球も、五輪が「4年間をかけて目指す目標」ではない。ソフトボールは女子サッカーと同じ事情だけに、外れてほしくなかったと思うが…。五輪の醍醐味(だいごみ)は「4年間の集大成」というところ。だからこそ、ドラマになる。

 観客動員やテレビ放送権料のため、IOCは男子サッカーをW杯同様に盛り上げたいと考えている。FIFAも協力姿勢を見せる。もちろん、監督や選手は頑張っているし、それがムダだとは思わない。しかし、五輪で見たいのは、4年間をかけた選手たちによる世界最高レベルの戦いだ。

荻島弘一(おぎしま・ひろかず)

 1960年(昭和35年)東京都生まれ。84年に入社、スポーツ部勤務。五輪、サッカーなどを担当し、96年からデスク。出版社を経て05年から編集委員として現場取材に戻る。




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