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コラム


同じでも違うメダルの色

2008年8月18日

 金、金、銀、銅。女子レスリングが4個のメダルを獲得した。前回のアテネ大会と選手も同じなら、成績も同じ。変わったのは2日間開催になったのと、吉田を肩車した栄和人さんの頭をそり上げたことぐらい。4年前のVTRを見ているようだ。

 もっとも、選手たちの表情は4年前とは違う。電光掲示板のミスに悔しさをかみしめて銅メダルを受けた浜口は、同じメダルに笑顔でキスした。姉千春の敗戦に喜びも半減だった伊調馨は、2つ目の金メダルを姉とともに喜んだ。同じ色のメダルでも、その輝きは選手によって違う。競技によっても違う。まったく同じメダルなど決してない。

 柔道でも同じだ。内柴、谷本、上野と3人が連覇した。いずれも、4年間勝ち続けたわけではない。山があって、谷があった。だからこそ「同じ色」で片付けるのは、選手に対して失礼だ。競泳の北島が「世界新での金」と記録にこだわったのも、柔道の谷が「谷でも金」「ママでも金」とぶちあげたのも、メダルに自分だけの色を付けるためだと言ったら考えすぎか。

 メダルの数は、その国の「スポーツ度」を表す客観的な指標ではある。世界中が、それに関心を寄せるのも確かだ。もちろん、金メダルの輝きが最もきれいなのは間違いないが、選手によっては金メダルほど輝く銅メダルもある。競泳の松田が20年間ともに戦った久世コーチに銅メダルをかけ「自分色のメダル」と言ったのも印象的だった。

 競泳、柔道、女子レスリングなど有望競技が集まった前半を終えて、金メダルは8個。初出場は柔道の石井だけで、7個は連覇だ。野球やソフトボールも残っているが、連覇が条件とするなら打ち止めで、アテネの16個からは半減する。これだけベテランが活躍すると、逆に次のロンドン大会も不安になる。もっとも、メダルは色だけではない。それぞれが異なる輝きを持つと思えば、その数だけに一喜一憂することもない。

荻島弘一(おぎしま・ひろかず)

 1960年(昭和35年)東京都生まれ。84年に入社、スポーツ部勤務。五輪、サッカーなどを担当し、96年からデスク。出版社を経て05年から編集委員として現場取材に戻る。




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