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コラム


聞く耳持たない警備態勢

2008年8月15日

 開会式が行われた8日、宿舎から車で15分ほどの場所にあるプレスセンターにチケットを届けることになった。北京市内は規制でタクシーが使用できないため、自転車を利用した。セキュリティーの厳しい大通りを避けて、路地を抜けていく作戦だった。しかし、自分の考えは甘かった。

 たまたま誰も警備していない道路を見つけ、突入した。しかし、15メートルほど進入したところで公安関係者4人が追いかけてきた。自転車を止められ、中国語でまくしたてられた。不審者に間違われたようだった。5分後に英語のできる担当者がきた。事情を説明して「警備もいなかった」と主張したが、その場で自転車を没収された。

 五輪取材は00年シドニー、04年アテネと過去2度経験している。シドニーではIDカードを下げた記者は自由に動けた。アテネでは、当時中東でテロが多発していたため、行動範囲を制限され、私も職務質問を受けたが、それでも事情を説明すれば、融通が利いた。北京のセキュリティーは過去の五輪と比べても明らかに過剰だった。

 結局、プレスセンターに徒歩でチケットを届けるまで1時間もかかった。帰りも自転車を預かり所まで取りに行き、宿舎に戻るまで1時間かかった。少しでも不審者(この場合は違うが)を見つけたら全力で対応する警備態勢は確かに頼もしい一面もあるが、市民や取材者にとっては窮屈すぎて居心地はあまりよくない。【山口晃】




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