通路の床で静かに精神統一
2008年8月14日
初戦こそ硬かったが、決勝まで5試合とも上野の良さが存分に出た。常に技をかけ続けられた。特に小内刈り、大内刈りで崩して寝技に持ち込む連続技は(84年ロサンゼルス五輪無差別級金の)山下(泰裕)先生をほうふつさせる。代表クラスでも投げたら投げっぱなしで技が途切れる傾向がある中、常に技がつながるのは上野だけ。ズバぬけた集中力があるからだ。
試合前、畳に上がる直前まで通路の床に座禅のように座り、静かに精神統一していた。他の代表選手には見られない印象的な姿だった。もともと(女子代表の)日蔭監督の言うことしか聞かないような芯の強さがある。性格的にも浮き沈みの激しいタイプだが、4年に1度しかない大舞台で集中力を高めることができる独特な方法を持っているのも、ほかの選手が学ぶべき部分だろう。(84年ロサンゼルス五輪60キロ級金メダリスト)