鈴木2戦120秒連続1本負け引退へ/柔道

- ベールラに1本負けの鈴木桂治は、畳から動けなかった(撮影・蔦林史峰)
<北京五輪:柔道>◇14日◇男子100キロ級
柔道男子100キロ級の鈴木桂治(28=平成管財)が、まさかの初戦敗退を喫し、五輪史上3人目となる2階級制覇を逃した。1回戦のツブシンバヤル(モンゴル)戦は1分26秒、もろ手刈りで1本負け。敗者復活1回戦でもベールラ(ドイツ)にわずか34秒、横落としで1本負けした。五輪、世界選手権、全日本選手権の「柔道3冠」を果たした偉大な柔道家は、今大会後に一線から退くことが濃厚になった。
2階級制覇の偉業を目指した2度目の五輪は、わずか120秒で幕を閉じた。敗者復活1回戦で1本負けを喫した瞬間、畳にうずくまり動けない鈴木がいた。「終わったな、何をやってるんだろう。自信を持ってやってきたことが間違いだった。情けないし、恥ずかしい」。こみ上げてくる悔し涙を止められなかった。
金メダルへの夢はもろくも砕かれた。1回戦のツブシンバヤル戦。レスリングのタックルまがいのもろ手刈りを1回、2回とかわしたが、3回目につかまった。「冷静に見ていたけど…。3回目? 覚えていない。決められた自分が悪い」。場外まで吹っ飛ばされると1本負けを告げられた。
「体調、調整、すべて完ぺきだった」と話したが、長年国際舞台で活躍してきたダメージからくる衰えは、間違いなく忍び寄っていた。股(こ)関節には慢性的な痛みを抱え、練習の負荷を上げるとすぐさま痛みが出る状況。自慢の足技を支える下半身の強化がままならなかったことで、奇襲技に弱いという防御面の弱点があらわになった。
アテネ五輪で100キロ超級を制してから4年。「終わってみればあっという間だった。本当にいろいろなことがあった」。05年世界選手権で本職の100キロ級で優勝を果たした後、やる気が上がらない日々が続いた。周囲には「柔道、辞めようかな」とこぼしたこともある。「北京が集大成」という思いで立ち直り、念願の100キロ級での五輪代表を手にしたが、最後は残酷な結果が待ち構えていた。
「やり残したことはない。もう1回畳に上がったら、また投げられると思う。空っぽです。もう1回強くなろうとも今は思えない。振り返ることが先。そこでやりたいと思えばランニングから始めると思う」。引退こそ明言しなかったが、今後は母校国士舘大で指導者の道を歩み始める予定で、偉大な柔道家が畳を下りることになる。【菅家大輔】
[2008年8月15日8時55分 紙面から]
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