塚田残り8秒で消えたV2/柔道

- 銀メダルを手に笑顔の塚田真希(撮影・蔦林史峰)
<北京五輪:柔道>◇15日◇女子78キロ超級決勝
あと8秒! 柔道女子78キロ超級で、アテネ五輪金メダルの塚田真希(26=綜合警備保障)が日本女子重量級初の連覇を逃した。決勝で最強のライバル■文(中国)と対戦。2分すぎ、出足払いによる有効でリードを奪ったが、終了8秒前に背負い投げで逆転の1本負け。支え続けてくれた元ライバル薪谷翠さん(ミキハウスコーチ)の28歳の誕生日に「金のプレゼント」を贈れず、号泣した。
あと8秒だった。ポイントをリードしていた塚田が■文に腕をつかまれて、宙に浮いた。耐え切れない。背負い投げで、そのまま青畳に転がった。中国人の大歓声。まさかの逆転1本負けで、五輪連覇が消えた。「これが自分の実力。持っている力を全部出し切って勝負したかったし、出し切れたと思う」。完敗に納得しようとしたが、あふれる涙は止まらなかった。
3回戦のザンボッティ戦で古傷を痛めた。背負い投げを仕掛けた際、右足首痛を再発。決勝は痛み止めの注射を打って臨んだが、05、07年の両世界選手権に続いて■文に3連敗。日蔭監督は「いい試合だったが、詰めが甘かった」と悔しがった。
アテネ大会で金メダルを獲得しても「世界-」の自信は持てなかった。「あの時はまぐれ。金メダリストと言われたくなかった」。昨年12月の嘉納杯東京国際ではまさかの1回戦負け。「調子が良かったのに気持ちが入らず負けたのが情けなかった」。支えてくれたのは、10年以上もライバル関係にあった親友だった。
4月の全日本女子選手権で、自分に負けて引退した薪谷さんに便せん3枚分の手紙を送った。「先輩の引退をすぐには受け入れられない」「だけど少し受け入れて先輩の第2の人生を応援したい」とつづった。塚田は「薪谷先輩は私の家に1週間くらい来てくれて、炊事に洗濯、掃除もしてくれて…。本当に楽しくてリラックスできた」という。
薪谷さんの28歳の誕生日だったこの日、恩返しの金メダルを必死で狙った。塚田は「先輩には全力で戦ったことをお知らせしたいです」と号泣した。最強の敵を最後まで追い詰めた。手にした銀メダルは、限りなく金色に近かった。
※■はニンベンに冬
[2008年8月16日8時38分 紙面から]
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