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初参加ツバル3人で沈みゆく島国アピール

 五輪はスポーツ大国だけのものじゃない。南太平洋の小国ツバルは、今大会が初参加。男子重量挙げのロゴナ・エサウ(21)ら3選手が、地球温暖化によって消滅の危機にある母国のために笑顔で入場行進した。練習もままならない、メダルも遠い、それでも選手たちは大舞台で国をアピールする。史上最多204の国と地域が、それぞれの思いを胸に参加する五輪。地球規模の祭典は、メダル争い以外も熱い。

 ツバル国旗を手にしたエサウを先頭に、3選手と役員が世界に向けて思いきり手を振った。初の五輪、経験したこともない大舞台。「どうか、僕を見てください。ツバルという国を知ってください」。開幕前に話した通り、エサウは精いっぱいアピールした。「大会中に、いろいろなことを経験したい」と話したが、同時に1万人近い国民の大きな期待も背負っている。

 「水没する国」として知られている。地球温暖化による海面上昇で、平均海抜1メートルの国土はピンチに立たされている。海沿いの道路が沈み始め、家屋を移転しなければならない人々もいる。そんな惨状を広く伝えるために、世界が注目する五輪は最高の舞台だ。

 英国や米国などの援助も受けて、昨年IOCに加盟した。英連邦大会や南太平洋大会などにも出場するエサウと陸上の男女各1選手の計3人が「初代の代表」になった。競技力はお世辞にも高いとはいえない。重量挙げ男子69キロのエサウのベストはスナッチとジャークで計260キロ。世界記録357キロにはほど遠く、出場31人の中で最下位だ。

 陸上も同じだ。国内に満足な施設がなく、女子短距離のマノアと男子短距離のティニラウは7月中旬から隣のフィジーで練習している。「五輪なんて別世界だと思っていた」と笑う16歳のマノアは、スターティングブロックの使い方すら知らなかった。上位進出など夢のまた夢。それでも「誇りと喜びを持って全力で走る」と話した。

 今大会には、204の国と地域が参加する。もっとも、メダルレースに参加する国は半分にも満たない。多くの国と選手にとって、五輪は「参加することに意義がある」大会だ。ツバル・オリンピック委員会のナタノ会長も「国がなくなるという現実を切実に感じている国民に、スポーツを通して希望を与えて欲しい」と話す。エサウが持つツバル国旗は、米国、中国、ロシアなどスポーツ大国の国旗にも負けず、力強く北京の空にひるがえった。

 [2008年8月9日8時46分 紙面から]


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