このページの先頭




サッカー

サッカーメニュー
  1. トップ
  2. 写真ニュース
  3. 日本戦速報
  4. 日程
  5. 結果
  6. コラム
  7. 日本代表名鑑
  8. 競技メモ

消えた!? 北京五輪女子サッカーチケット

2008年7月06日

 とにかく、北京五輪の観戦チケットが日本で手に入らないのだという。マラソンや100メートル競争といった人気競技の話ではない。まずスタジアムが満員になることのないマイナー競技、女子サッカーの話である。

 自分でコラムを書いていながらマイナーと表現するのは心苦しいのだが、実際客が入らないのだからやっぱりマイナーである。最近スポーツニュースなどでも時々流される機会がある、04年アテネ五輪時のなでしこジャパンの映像を思い浮かべてもらえばいい。選手達の背景はスカスカの観客席である。アテネでの女子サッカー競技は、決勝も当日券で入場できた。

 そんな女子サッカーのチケットが、北京五輪に限っては日本に回ってきていないのである。五輪観戦ツアーを企画している旅行代理店は、今でも八方手を尽くしてチケットをかき集めている真っ最中。なにしろ日本サッカー協会にさえ、これまでの五輪で開催国側から割り当てられてきた枚数におよそ及ばない量しか送られてきておらず、協会関係者の試合観戦が危ぶまれている状態なのだ。

 チケット入手に関しては中国国民も相当苦労しているそうだから、外国である日本の状況がより困難になるのは仕方がない。しかし女子サッカーを始めとする不人気競技のものまでどこかに消えてなくなるとは、いったいどうしたわけか。

 原因は4つほど考えられる。

 (1)初めて全世界の注目が集まる国際スポーツイベントを主催する中国五輪組織委員会側が、経験不足ゆえにチケット販売・分配のノウハウを持っていない。だから不人気競技のチケットまで出し渋って、未だに在庫を抱えている。

 (2)中国組織委員会が自ら意図的にチケット出荷数をコントロールし、飢餓感を煽って定価以上の価格で売りさばき、莫大な利ざやを得ようとしている。

 (3)すべての五輪チケットは中国組織委員会から滞りなく出荷された。しかし中国国内外の悪質なブローカーがチケットの流れをどこかでせき止め、抱え込んでいる。(2)同様、ぎりぎりまで品薄感を演出し、できるだけ値段を吊り上げて売り抜ける魂胆。

 (4)これから様々な分野で国際社会に打って出ようとしている中国が、文字通り国の威信をかけて開催する北京五輪。不人気競技といえどスタンドに空席が目立つ映像を海外の人々の目に触れさせるわけにはいかない。そこで不人気が予想される競技の場合はスタジアム周辺住民にサクラとなってもらうべく、事前に大量のチケットを配布している。おかげで海外割り当て分が少なくなってしまった。

 ひとつひとつ検証していこう。

 現在のチケット不足の真相は、(1)が最も正解に近いと考えられる。そうであるなら大量の当日券が現地で発売されることになる。日本のスポーツファンが一番願っている状況だろう。

 (2)の場合。うがち過ぎだと笑われるかもしれないが、あながち突拍子もない妄想でもない。組織という組織が作ったそばから腐敗していくのが、近代中国の特徴のひとつである。たとえ組織委員会全体でなくても、一部の不心得者が私腹を肥やそうとすることだってある。だが仮にそのような不正が行われていたにしても、大会直前までチケットがさばけなければ余剰分が値下がりして市場に出回ることになる。その場合は正規ルートとダフ屋も含めたブラックマーケットのどちらか、あるいは双方に流れる可能性が考えられる。

 (3)も(2)同様、大会直前になれば市場に放出されるが、こちらは正規ルートにチケットが戻されることはないだろう。

 しかし(4)のケースだとすると、これは困ったことになる。実際、中国は国際スポーツイベントでこのようなことをよく行うのだ。昨年のサッカー女子W杯でも大量のサクラが動員されて、スタジアムの空席を埋めた。これが五輪でも行われたとなると、市場に出回ったチケットは本当にわずかだということになる。ない袖はどうやっても振れない。女子サッカーに興味のかけらもない、大量動員された周辺住民が退屈そうに座っているスタジアムの外で、なでしこジャパンの試合を観戦したくてたまらない日本からのファンが指をくわえているといった、皮肉な風景が現実のものとなるかもしれない。

 ただし一縷の望みはある。スタンドに座っている時間さえもムダだと考えるサクラの観客が即席ダフ屋となり、スタジアム前で自分のチケットを売りさばく、これは充分アリなのではないか。

 ただ(2)、(3)、(4)、いずれの場合も正規ルート以外でチケットを入手しようとする場合には、用心が必要だ。中国国内でも、正規ルート以外でチケットを手に入れようとした人が詐欺にあったり、ニセモノをつかまされたりしているのである。外国人はまだチケットの実物を目にしていない場合が多いだけに、よりだまされやすいのである。

 そういったリスクを負いたくない、しかし事前に確実に女子サッカーの入場券を手に入れたいという人には、最後の手段がある。アメリカやイギリスのチケットエージェンシーを利用するのである。ただし、金に糸目をつけない覚悟があればの話だ。

 秦皇島と上海で行われる日本女子代表のグループリーグ戦入場券は、チケットぴあの申し込み抽選で(ものすごいくじ運に恵まれて)当たれば1枚3100円で購入できる。その同じチケットが、海外エージェンシーでは165ドル+手数料という高値に跳ね上がるのだ。しかもこれは、最も良心的な値をつけているエージェンシーでの価格なのである。

 ついでに、そのエージェンシーが発売している女子サッカー競技決勝戦の最高席の値段を紹介して、締めくくりに代えたい。

 675ドル+手数料…。

河崎三行コラム『五輪の花へ!なでしこジャパン』

バックナンバー

河崎 三行(かわさき・さんぎょう)

 1965年(昭40)8月13日、高松市生まれ。港湾労働者、建設作業員、スポーツ新聞社勤務等を経てフリーランスライターに。時に自動車産業、ミシュランガイド東京版、チェ・ゲバラ、環境問題などについての記事を執筆することもあるが、主な取材対象はサッカーをはじめとするスポーツ。近年は日本の女子サッカーとオーストラリアのサッカーを継続的に追いかけている。著書に『チュックダン!』(双葉社)。




ここからフッターエリア


nikkansports.comに掲載の記事・写真・カット等の転載を禁じます。
すべての著作権は日刊スポーツ新聞社に帰属します。
(C)2018,Nikkan Sports News.