1996年アトランタ予選
日本のエース前園が2ゴール
- 1996年3月25日の日刊スポーツ一面

◇1996年3月24日◇アトランタ五輪予選準決勝 サウジアラビア戦◇シャーアラム・スタジアム
【クアラルンプール(マレーシア)24日=桝田朗、横田和幸】前園が世界のワザで五輪キップをつかみ取った。サッカー日本五輪代表が、準決勝でサウジアラビアを2-1で下し、1968年(昭43)メキシコ大会以来28年ぶりの五輪出場権を獲得した。エース前園真聖(22=横浜F)が前半4分、絶妙のパス回しから中央突破し先制ゴール。後半12分にも自ら追加点を挙げた。全国のファンが待っていた悲願を達成し、「日本の至宝」が世界のサッカー界にアピールする時が来た。
日本を28年ぶりの五輪、アトランタに運んだのは、エース前園だった。今大会最強といわれたサウジアラビアの堅固なディフェンスを、正面からこじ開けた。前半4分だ。中央から、広長がポストの城に当てたところへ、トップスピードで前園が走り込む。GKの前に、あっと言う間に飛び出して先制のゴールを決めた。「城とのコンビはすごくうまく合った」と、高校時代からコンビを組む城との連係に、満足そうに話した。
日本不利が前評判だった。通常より1枚守備の選手を増やした日本に、前園の1点は値千金だった。主導権を握り、攻め込まれながらも日本のペースをつくり上げた。そして、後半12分。一方的に攻められ、サウジぺースになった時に、またも前園の一撃がさく裂した。中盤からペナルティーエリア内の伊東に目の覚めるようなパスを送ると、一気に15メートルを加速して、再びゴール前へ。相手DFがぼう然と見送るなか、やすやすと2点目を決めた。
「2点でも勝てるとは思わなかった。最後まで、本当に苦しかった」と前園は振り返った。攻撃だけでなく、相手ボランチで主将のアルハルビのマンマークも、きっちりこなしていた。最後は足がもつれフラフラになりながら、守備に戻り、「集中を切らすな! 最後まで戦え!」と仲間を励まし続けた。そして、試合終了。前園はシャーアラム・スタジアムのグラウンドで大の字になり、勝利をかみしめていた。
日本の若きエース前園は、大会前から公式プログラムでも1ページで紹介され、注目の存在だった。「ゾノ」は日本をアトランタへ連れていくことができるか? プログラムの見出しは、アジアでの前園の認知度を示すものだった。エースというだけでなく、前園には主将という重責もあった。警告の累積で初戦のイラク戦は欠場。大会直前の練習で覇気がないチームメートに怒りを爆発させたこともあった。
そんなうっぷんを、第2戦のオマーン戦、そして準決勝とチームの最も大事な2試合で2点ずつ取って晴らした。今大会の日本は、ただ勝つだけではなく、チーム戦術、チームワークなど、相手チームの監督から高い評価を得た。高度な能力を持ちながら、自分の能力をチームの中で最大限に引き出す。前園はここ数年でアジアNO・1の実力にのし上がったといわれる日本の象徴だ。
五輪出場を決め、残るは27日の決勝戦。「アジアのチャンピオンとして出たい。その上で、五輪で自分をアピールしたい」。日本のエースは、アトランタで世界へ羽ばたこうとしている。
[1996年3月25日付紙面から]
- 監督
- 西野 朗
- コーチ
- 山本 昌邦
| 年月日 | スコア | 相手 | 得点者 | 場所 |
|---|---|---|---|---|
| 1996/03/16 | △1-1 | イラク | 城 | マレーシア・クアラルンプール |
| ポジション | 選手名 | |||
| GK | 川口 能活 | |||
| DF | 鈴木 秀人 →白井 博幸 | |||
| 田中 誠 →秋葉 忠宏 | ||||
| 上村 健一 | ||||
| MF | 森岡 茂 →遠藤 彰弘 | |||
| 伊東 輝悦 | ||||
| 廣長 優志 | ||||
| 菊池 利三 | ||||
| 中田 英寿 | ||||
| FW | 松原 良香 | |||
| 城 彰二 | ||||
| 年月日 | スコア | 相手 | 得点者 | 場所 |
|---|---|---|---|---|
| 1996/03/18 | ○4-1 | オマーン | 前園2、城、中田英 | マレーシア・クアラルンプール |
| ポジション | 選手名 | |||
| GK | 川口 能活 | |||
| DF | 白井 博幸 | |||
| 田中 誠 | ||||
| 上村 健一 | ||||
| MF | 森岡 茂 →遠藤 彰弘 | |||
| 伊東 輝悦 | ||||
| 廣長 優志 | ||||
| 菊池 利三 →路木 龍次 | ||||
| 前園 真聖 | ||||
| 中田 英寿 | ||||
| FW | 城 彰二 →松原 良香 | |||
| 年月日 | スコア | 相手 | 得点者 | 場所 |
|---|---|---|---|---|
| 1996/03/20 | ○1-0 | UAE | 上村 | マレーシア・クアラルンプール |
| ポジション | 選手名 | |||
| GK | 川口 能活 | |||
| DF | 白井 博幸 | |||
| 田中 誠 | ||||
| 上村 健一 | ||||
| MF | 遠藤 彰弘 | |||
| 伊東 輝悦 | ||||
| 廣長 優志 | ||||
| 路木 龍次 →服部 年宏 | ||||
| 中田 英寿 →安永 聡太郎 →秋葉 忠宏 | ||||
| 前園 真聖 | ||||
| FW | 城 彰二 | |||
| 年月日 | スコア | 相手 | 得点者 | 場所 |
|---|---|---|---|---|
| 1996/03/24 | ○2-1 | サウジアラビア | 前園2 | マレーシア・クアラルンプール |
| ポジション | 選手名 | |||
| GK | 川口 能活 | |||
| DF | 鈴木 秀人 | |||
| 田中 誠 | ||||
| 上村 健一 | ||||
| 白井 博幸 | ||||
| MF | 遠藤 彰弘 →中田 英寿 | |||
| 伊東 輝悦 | ||||
| 廣長 優志 | ||||
| 服部 年宏 | ||||
| 前園 真聖 | ||||
| FW | 城 彰二 | |||
| 年月日 | スコア | 相手 | 得点者 | 場所 |
|---|---|---|---|---|
| 1996/03/27 | ●2-1 | 韓国 | 城 | マレーシア・クアラルンプール |
| ポジション | 選手名 | |||
| GK | 川口 能活 | |||
| DF | 鈴木 秀人 →松原 良香 | |||
| 田中 誠 | ||||
| 上村 健一 | ||||
| 白井 博幸 | ||||
| MF | 森岡 茂 →中田 英寿 | |||
| 伊東 輝悦 | ||||
| 廣長 優志 | ||||
| 服部 年宏 →路木 龍次 | ||||
| 前園 真聖 | ||||
| FW | 城 彰二 | |||
| No. | 選手名 | 年齢 | 所属 |
|---|---|---|---|
| 1 | 川口 能活 | 20 | 横浜M |
| 2 | 白井 博幸 | 21 | 清水 |
| 3 | 鈴木 秀人 | 21 | 磐田 |
| 4 | 菊池 利三 | 22 | V川崎 |
| 5 | 田中 誠 | 20 | 磐田 |
| 6 | 服部 年宏 | 22 | 磐田 |
| 7 | 前園 真聖 | 22 | 横浜F |
| 8 | 伊東 輝悦 | 21 | 清水 |
| 9 | 城 彰二 | 20 | 市原 |
| 10 | 安永 聡太郎 | 19 | 横浜M |
| 12 | 森岡 茂 | 22 | G大阪 |
| 13 | 廣長 優志 | 20 | V川崎 |
| 14 | 中田 英寿 | 19 | 平塚 |
| 15 | 秋葉 忠宏 | 20 | 市原 |
| 16 | 松原 良香 | 21 | 清水 |
| 17 | 路木 龍次 | 22 | 広島 |
| 18 | 柳沢 敦 | 18 | 鹿島 |
| 19 | 下田 崇 | 20 | 広島 |
| 20 | 遠藤 彰弘 | 20 | 横浜M |
| 25 | 上村 健一 | 21 | 広島 |
※年齢、所属は当時
- 【各ポジションの意味】
-
- GK=ゴールキーパー
- FB=フルバック
- HB=ハーフバック
- FW=フォワード
- RB=ライトバック
- LB=レフトバック
- RH=ライトハーフバック
- CH=センターハーフバック
- LH=レフトハーフバック
- OR=アウトサイドライト
- IR=インサイドライト
- CF=センターフォワード
- IL=インサイドレフト
- OL=アウトサイドレフト
- DF=ディフェンダー
- MF=ミッドフィルダー



