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沢芸術弾!なでしこ執念ドロー/サッカー

後半、沢(右から2人目)はゴール前で同点となるボレーシュートを決める
後半、沢(右から2人目)はゴール前で同点となるボレーシュートを決める

<北京五輪・サッカー:日本2-2ニュージーランド>◇6日◇女子1次リーグG組

 【秦皇島(中国)6日=山下健二郎】なでしこジャパンが、エースの一撃でメダルへ望みをつないだ。サッカー日本女子代表が、北京五輪のトップを切ってスタートした1次リーグ初戦で、ニュージーランドと2-2で引き分けた。2点差を追う苦しい展開に耐え、後半41分にMF沢穂希(29=日テレ)の同点ゴールで勝ち点1を手にした。沢は代表通算70得点目で、3大会目で五輪初ゴール。最後まで決してあきらめない精神力で、なでしこが日本選手団の先陣を勤め上げた。

 何も考えられなかった。頭の中は、真っ白だった。メダルへの夢がかすみ始めた後半41分。沢は仲間を信じてゴール前ニアサイドへ駆け込んだ。右サイドから相手の壁をかすめて鋭く曲がる、宮間のFK。ボールは死角に入っても、迷わず右足を振り抜いた。「無心でした。ハッと気が付いたらゴールに入ってましたから」。鮮やかなボレー弾。苦戦に顔をゆがめる仲間を鼓舞するため、両腕を高く掲げ、大声で笑ってピッチを走り回った。

 96年アトランタ大会から数えて3大会、待ち望んでいた五輪初ゴールでチームを救った。格下のニュージーランドを相手に、後半11分でまさかの0-2。「正直、大丈夫かなと思ってました。でも、サッカーは何が起こるか分からない。最後まであきらめずに、全力で戦うのが、なでしこジャパン」と胸の内で繰り返した。試合前、チームメートや友人に「今回の五輪で初得点するから。有言実行よ」と宣言。ここで決めずに、いつ決める。エースの意地と誇りを込めた。

 チームは2月の東アジア選手権で、81年の女子代表発足以来初の公式タイトルを手にした。初のメダル「獲得」へ、周囲の期待も日増しに高まる中、それでも沢は「メダルに近づけるように」と冷静だった。世界最高峰の米女子プロリーグでもまれ、常に代表の中心で世界と戦ってきたからこそ、その厳しさを肌で感じていた。前回04年アテネ大会では、初戦で優勝候補のスウェーデンを下し「なでしこフィーバー」が沸き起こる中、右内転筋痛に苦しみ、全力を出し切れなかった。「三度目の正直。誰よりも五輪へ懸ける気持ちは強い。結果にこだわりたい」と言って臨んでいた。

 今季は、長年務めた攻撃的MFからボランチへ移った。相手からボールを奪うタイミングと強さ、正確なフィードを期待された。ゴールからは遠ざかったが、新たな役割が挑戦心をくすぐった。運動量を生かし、周囲と連動しながら攻撃を組み立てるのが日本サッカー。「常に目標があるからこそ、ここまで頑張ってこられてると思います。五輪で決めた1点は重みが違いますね。満足せずに、1点でも多く取りたい」。

 日本を史上最多37個のメダルへ勢いづけた、4年前。前回のように華々しい先陣とはならなかったが、沢1人だったプロ選手も、今大会は18人中6人とチームは確実に力を付けている。佐々木監督は「どんな状況からでも追いつく。それが日本らしい戦い。残り2試合、しっかり修正して勝ち上がりたい」。最後まであきらめないなでしこたちが、五輪開幕を迎える日本選手団に勇気を与えた。【山下健二郎】

 [2008年8月7日8時43分 紙面から]


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