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反町日本黒星、早くも崖っぷち/サッカー

前半21分、決定的なチャンスに外してしまう森重(撮影 P・ヌッチ)
前半21分、決定的なチャンスに外してしまう森重(撮影 P・ヌッチ)

<北京五輪・サッカー:米国1-0日本>◇7日◇男子1次リーグB組 

【天津(中国)7日=山下健二郎、奈島宏樹】40年ぶりのメダルがかすんだ。サッカー日本男子代表が1次リーグ初戦で米国に0-1で敗れた。前半21分、CKからの「スペシャルプレー」で決定機をつくりながら、DF森重真人(21=大分)が外すなど、好機を生かせない。逆に、後半2分にわずかな守備のスキを突かれて先制点を献上し、逃げ切られた。同じB組のオランダとナイジェリアが引き分けたため、次戦10日のナイジェリア戦で連敗すれば1次リーグ敗退決定。いきなり、がけっぷちに立たされた。

 敗戦を告げる笛の音が、胸に響いた。全身から力が抜け、悔しさだけがこみ上げる。本田圭は背中からピッチに倒れ、森重は座り込んだ。顔を覆った長友は、相手選手の助けを借りるまで起き上がれなかった。1次リーグ突破へ、絶対に負けられなかった初戦。恐れていた最悪のシナリオが、現実になってしまった。

 決めるべきときに、決められなかった。前半21分。「練習通りだった」と本田圭は右ショートコーナーを、内田の足元へ送った。内田は即座に香川とのワンツーパスで守備網を突破。ゴール前に駆け込んだ森重へ折り返す。流れるようなワンタッチプレーで、米国守備陣をまさにほんろうした。

 だが、森重が相手DFともつれ合いながら放ったシュートは、ゴール枠の外へ。「体ごと押し込んでいれば、入っていた」と唇をかみしめた。大柄で屈強な相手から点を奪う、とっておきのセットプレー。天津入り後、連日の非公開練習で繰り返し試してきた「秘策」は、成功寸前で失敗に終わった。

 「得点力不足とは言わせない」。チーム発足後からの合言葉だった。日本人の特性を生かした、素早いパス回しと人もボールも動く圧倒的な運動量で勝つはずだった。気温34度の猛暑。「米国の足が止まった。願ってもない気候だった」(本田圭)と優位を感じた。

 だが、粘土質なうえに、前夜の女子サッカー開催でピッチ状態は予想を上回る悪さだった。左サイドの攻撃の切り札として期待された香川が「いい訳にしたくないけど、パスが回せなかった」という。前半41分には、内田の低い右クロスに谷口がダイビングヘッドを試みたが、オフサイド。生命線だった「連動」の鎖がちぎれ、わずかな誤差が勝敗を分けた。

 大久保と遠藤を招集できず、1次リーグB組で唯一、オーバーエージ(年齢制限外)枠を使わずに北京世代だけで臨んだ五輪。反町監督は「よそ行きのサッカーはしない」と2年間の集大成として挑んだ。終盤に李、岡崎、豊田と交代枠すべてを使い切った反撃も、00年シドニー大会でPK戦の末にベスト4を阻まれた因縁の相手に通じなかった。「全部の力を出し切れなかった。でも、これで次のゲームプランははっきりした。勝ち点3を取りに行くしかない」。同監督は覚悟を決めた。

 ホームアンドアウェー方式で全12試合を戦う、史上最難関のアジア予選をくぐり抜け、ようやく迎えた世界舞台。試合直後の控室で「次がある。下を向くな」という指揮官の叱咤(しった)に、全員がうなずいた。数々の試練を乗り越えてきた雑草軍団。がけっぷちからはい上がるしかない。【山下健二郎】

 [2008年8月8日9時16分 紙面から]


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