別の競技を同じ競技に
2008年8月15日
平泳ぎの2種目連覇には大きな価値があります。スピード重視の100メートルとスタミナ重視の200メートルはまったく別の競技なんです。200メートルでは、100メートルのライバルに浮上したダーレオーエン選手が予選落ち、ハンセン選手は五輪選考会の時点で落選しています。
北島選手の偉大さは、その「別の競技」を「同じ競技」にしたことです。持ち前のストロークの少ない、大きな泳ぎは200メートル向きでしたが、同じ泳ぎで100メートルでも結果も出せるようにしました。その裏には過酷な肉体強化によるパワーアップがありました。
もっとも平泳ぎはパワーだけでは通用しない種目です。ただ強く手をかいて、足をキックしても速くはなりません。腕、足のパワーが増せば、抵抗が大きくなります。微妙なバランス感覚が命なのです。自分もそうでしたが、1度フォームを崩すと、立て直すのはとても難しい。その最も難しい平泳ぎで2種目制覇。北島選手の泳ぎは「芸術品」といえるでしょう。(ロサンゼルス五輪女子200メートル平泳ぎ4位)