ハンセン平凡タイムに北島陣営金へ手応え
<競泳:北京五輪米国代表選考会>◇2日目◇30日(日本時間7月1日)◇米ネブラスカ州オマハ◇男子100メートル平泳ぎ決勝
ハンセンがここ一番での精神的な弱さを露呈した。男子100メートル平泳ぎ決勝に出場したブレンダン・ハンセン(26)は、記録を意識しすぎて失速。1位で五輪代表権は得たが、記録は59秒93に終わった。前日の準決勝では、北島康介の持つ日本記録59秒44を上回る59秒24をマーク。決勝では自らの世界記録59秒13を更新してライバルにプレッシャーをかけるつもりだったが、逆に北島に自信を与える結果となった。
ゴール後、タイムを確認したハンセンは、力なく首を左右に振った。「どうしてだ」と言いたげに、左の手のひらを持ち上げて肩をすくめた。「タイムには失望している。でも、この大会の目的は代表になることだった」。強がったものの、目はうつろ。記録を狙いながら平凡なタイムに終わったショックは大きかった。
前日の準決勝では59秒24の好タイムを出し「決勝が楽しみ」と言っていた。しかし、決勝は記録を意識したのか力んだ。力が入りすぎてバランスを崩した。前半50メートルは28秒20と、自己の世界記録時の27秒66に遠く及ばず。後半も伸びはなかった。「少し緊張したかもしれない」。魔法の水着レーザーレーサー(LZR)の力も及ばなかった。
課題の精神面の弱さが出た。ここ一番ではもろさも見せる。100、200メートル世界記録保持者として臨んだアテネ五輪では、2種目とも北島に敗れた。力感ある泳ぎは武器でもあるが、勝負を意識すると力が入ってバランスを崩す。アテネ五輪後の直接対決では北島に全勝しているハンセンだが、五輪を意識して再び課題が露呈してきた。
視察した日本チームの上野監督は「世界記録を出す可能性があったが、ここで出せないのがハンセンらしい」と、北島の金メダル獲得への手応えを得た様子。好記録で北島にプレッシャーを与えることを狙うハンセンだが、このままでは逆効果だ。「北島については」という日本の報道陣の質問に、ぶぜんとした表情で「答えない」と言い放ったハンセン。北島から世界記録奪還を狙う200メートルは、3日に予選が始まる。
[2008年7月2日9時57分 紙面から]
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