ハンセン北島を意識…まさかの失速/競泳

- 男子200メートル平泳ぎで五輪出場を逃したハンセン(手前)(AP)
<競泳:北京五輪米国代表選考会>◇5日目◇3日(日本時間4日)◇米ネブラスカ州オマハ
男子平泳ぎのブレンダン・ハンセン(26)が、敗れた。200メートル決勝で北島康介(25)から世界記録奪還を目指したが、ラスト50メートルでまさかの失速。2分11秒37の平凡なタイムで4位に終わり、2位までに与えられる北京五輪出場権を逃した。1カ月前まで2分8秒50の世界記録を保持していたが、これで北京の個人種目は100メートルだけ。2分7秒51の世界記録を持つ北島にとって、金メダルへの最大のライバルが消えた。
スタンドの歓声が悲鳴に変わり、ため息になった。150メートルの折り返しは1位。北島の世界記録のラップには約1秒遅れたが、自らの持っていた世界記録に近いペース。誰もがラストの追い上げを期待したが、プールでは信じられない光景が繰り広げられた。
ハンセンのスピードが明らかに鈍り、次々と抜かれていく。01年以来、常に平泳ぎのトップを守ってきた王者は、力なく4番目にゴール。コースロープにもたれると、うつろな目でベストから3秒近くも遅いタイムと「4」が映し出された電光掲示板を見つめた。
「ベストは尽くした。すべてを出した。でも、今日は僕の日じゃなかった」。ハンセンは、ぼうぜんとしながら言った。北島の記録を意識し過ぎた。「どうレースを進めていいか、分からなくなった」。無理なく代表権をとれる9秒台でも良かった。7秒台を意識するあまりに、自分の泳ぎを見失った。見えない北島のプレッシャーに自滅した。
指導するテキサス大のリース・コーチは「信じられない」と絶句し「どうしようもない、と声をかけるしかない」と頭をかかえた。女子のエース、コーグリンは「あまりにも残酷…。見ていられない」と言葉を絞り出した。1カ月前まで4年間も世界記録を保持していた王者の敗退。一発勝負の常とは言え、米国選手に与える影響も大きい。最初のレースでのショックが尾を引いたのか、この日も前日に続いて世界新のアナウンスはなかった。
「世界記録を奪い返せないのは残念だけど、200メートルは彼らに任せる。北京ではスパンが勝つよ」。ハンセンは打倒北島を後輩たちに託した。そして、リース・コーチに約束した。「100メートルでは、58秒台で金メダルをとる」。200メートルは「不戦敗」となったが、100メートルで2冠を狙うライバルの前に立ちはだかる。
[2008年7月5日8時45分 紙面から]
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