北島に強敵、急上昇ダーレオーエン/競泳

- 59秒16で連日の五輪新をマークしたダーレオーエン(AP)
<北京五輪:競泳>◇10日◇男子100メートル平泳ぎ準決勝
2大会連続平泳ぎ2冠を目指す北島康介(25=日本コカ・コーラ)に、思わぬ強敵が現れた。競泳男子100メートル平泳ぎ準決勝で、予選1位のアレクサンデル・ダーレオーエン(23=ノルウェー)が、連日の五輪新で世界記録にわずか0秒03と迫る、世界歴代2位の59秒16までタイムを伸ばした。ダーレオーエンってダーレ? というほど昨年まで無名だったが、今年に入って突如頭角を現した新鋭と連覇を懸けてきょう激突する。
この4年間で成長したのは北島だけではなかった。準決勝1組目で、北島が59秒55で1位となると、驚きのタイムが出たのは直後の最終2組目だった。ダーレオーエンは、飛び出した世界記録保持者のハンセンをジワジワと追い上げ、28秒03と同タイムで折り返し。その後は190センチの長身から、大きな泳ぎとプル(手のかき)の強さを生かし、後続から体半分のリード奪ってゴールした。記録は59秒16。北島の日本記録59秒44を0秒28も上回っていた。
「59秒1台が出るとは思わなかったので、非常に幸せな気分だ。大きな自信になる」と目を輝かせた。昨年3月の世界選手権では、予選を1分0秒34の自己ベストで北島に次ぐ2位で通過。準決勝も3位で突破したが、決勝は1分1秒67と平凡なタイムで最下位の8位に沈んだ。レースを重ねるごとにタイムを落とし、ペース配分の重要性を痛感。1年後の今年3月の欧州選手権では、決勝で初めて1分を切る59秒76をマークし優勝した。世界ランクは05年11位、06年5位、07年4位。徐々に力を付け、今年は大会前に3位につけて臨んでいた。
あらゆるレース展開に対応できる力も身に着けている。予選は前半27秒95と、出場63選手中、唯一27秒台に突入して逃げ切った。逆にこの日は、先行するハンセンを逆転する後半型のペース配分。「自分のペースを守って泳いだだけ」と、精神面に弱さが残るハンセンとは違い、焦りも周囲に惑わされることもない。
北島陣営も、さすがに困惑を隠せなかった。これまで世界新を予告していた平井コーチも、この日は口数が少なく「ダーレオーエンの泳ぎ? そりゃ、いいですよ。想定内? そうかな…」と言葉を濁した。泳ぎ、精神面、戦術と、すべてにすきを見せないダーレオーエンは「北島もハンセンも尊敬しているし、彼らが決勝に強いことは分かっている」と、さらに気を引き締めた。北島の連覇に、暗雲が立ち込めてきた。【高田文太】
[2008年8月11日9時27分 紙面から]
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