錦織が強豪相手に競り負け/テニス

- 第2セット、後ろ向きでリターンする錦織圭(撮影・田崎高広)
<北京五輪:テニス>◇11日◇男子シングルス1回戦
五輪初出場の錦織圭(18=ソニー)が、あと1歩で歴史的勝利を逃した。1回戦で、ウィンブルドン4強のライナー・シュットラー(32=ドイツ)に4-6、7-6、3-6で敗戦。第2セットは0-5から追い付くなど、マッチポイントを5回もしのぎ、驚異的な粘りを見せた。五輪男子シングルスの日本選手として、原田武一以来84年ぶりの勝利はならなかった。女子シングルスでも杉山愛(33)が1回戦で敗れた。
いつもならストレートで、負けていた。世界ランクは、シュットラーの34位に対し、錦織は124位。序盤は、序列通りの展開だった。第1セットを取られ、第2セットも0-5。あと1ゲーム奪われれば、試合が終わる。だが、ここから逆襲が始まった。
ショットが、際どいコースに決まりだす。要所のポイントのたびに「おっ!」と声が出た。リズムに乗って、5ゲーム連取で追い付いた。6-6の後、タイブレークの末に、第2セットを取った。この間、相手のマッチポイントを5度もしのいだ。粘りに粘った。
「0-5とリードされて、いつもならあきらめている状態でした。そこで盛り返して逆転できた」。あきらめなかった理由がある。「何度とない大会なので、大事なチャンス。そこで頑張れたのは、自分でも評価したいです」。五輪という特別な舞台が、18歳の青年を奮い立たせた。
最後は、力尽きた。第3セット途中、腰に痛みが出た。主審に願い出て、試合を中断し、ベンチ前で大会のトレーナーからマッサージを受けた。約5分の中断後に立ち直ったが、結果につながらなかった。2時間48分の熱戦だった。
松江市立乃木小2年の時「五輪に出たい」と作文に書いた。テニス界は一般的に、五輪より4大大会に価値を置く。だが錦織は、少年時代からのあこがれを胸に、五輪を戦った。選手村では、卓球の水谷らと同部屋。「日本のトップ選手しかいない。すごい楽しかった。モチベーションはすごく上がりますね」と振り返った。
今年2月、日本人として16年ぶりのツアー優勝を果たし、五輪出場にまでつなげてみせた。選手としてのピークは、まだまだ先。4年後について問われると「もちろん出たい。そこで金メダルを目指して頑張りたい」と素直に言った。【佐々木一郎】
[2008年8月12日8時56分 紙面から]
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