伊調千が連続「銀」で引退へ/レスリング

- 女子48キロ級決勝 2大会連続の銀メダルに終わった伊調千は天を仰ぐ
<北京五輪:レスリング>◇16日◇女子フリースタイル48キロ級決勝
レスリング女子48キロ級の伊調千春(26=綜合警備保障)は、2大会連続の銀メダルに終わった。決勝でキャロル・ハイン(カナダ)に0-2で完敗。17日に登場する妹馨(24=同)との「姉妹で金」は果たせなかったが、涙を見せず「馨と歩いてきた道は最高でした。だから、私にとってはこの銀メダルは金メダル」とキッパリ。現役引退を示唆した。
姉は銀メダルを掲げ、満面の笑みを浮かべた。やり抜いた-。「姉妹で金」を果たせなかった悔しさを、充実感が上回った。伊調千は「アテネ五輪から4年。馨と歩んできた道は輝いていた。誇りに思う。私にとって、この銀メダルは金メダル」と胸を張った。
決勝のハイン戦は1ポイントも奪えぬ完敗だった。6月初旬に痛めた右足首の回復が遅れた。調整不足に減量苦も重なった。それでも「力も体力も相手が上だった。いつも通りだった」と言い訳はしなかった。
アテネ五輪決勝で敗れたメルレニ(旧姓メルニク)との3回戦では、奇跡を起こした。第1Pを0-1で落とし、第2Pも1ポイントリードされた。残り4秒、場外際でメルレニを倒すと強引にフォール、大逆転勝ちした。
4年前の屈辱を忘れたことはない。決勝で敗れ、ドーピング検査があったにもかかわらず、係員に頼み込み試合前の妹馨の控室へ走った。「自分は勇気がなくて負けた。お前は勇気を持って攻めて」。悔しすぎて涙も出ない中で妹の金メダルを見届けた。
「姉妹で金」に挑むため、冒険に踏み切った。06、07年世界選手権を連覇しながらも、防御主体の堅実なスタイルに疑問を感じていた。これで勝てるのか-。妹の支えと女子代表の藤川コーチの助言もあり、今大会直前に攻撃的なスタイルに変更。最善を尽くした結果だった。
号泣する妹が抱きついてきた。「頑張ったね」と言ってくれた。試合後も表彰式でも見せなかった涙がこぼれ落ちた。「私はこの大会を1つの区切りと考えている。私の中では馨と2人で金を取って終わりたかったけど、気持ちはすっきりしている」と引退を示唆した。10月、東京開催の女子世界選手権を花道に、頑張った姉はマットを去ることになりそうだ。
[2008年8月17日8時37分 紙面から]
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